第7話 兵法、無限ガチャ

「曹操。字は孟徳。若い頃から野心家で手柄を立てて、威張ることしか考えていなかった男です。出世のためには悪いことや他人の手柄を横取りするタイプです。」

 孔明は渋子に曹操の人物像を伝える。

「そうなんだ。お姉ちゃんみたいな人間ね。」

「なんでそうなるのよ!?」

「だってお姉ちゃんが天才ゲーム・プログラマーということは、お姉ちゃんに負けた人は今頃、引きこもりかニートになってるからよ。」

「何か違うような気がする!?」

 渋子と孔明は曹操の世界にやってきた。

「若い頃から曹操には猛将の従妹、夏候惇と夏侯淵がいます。強敵ですね。」

「ファースト・クエストで、まず曹操、夏侯惇、夏侯淵の3人と戦うことになるわ。後は曹操軍の兵士AとかBとかでいいでしょう。」

「それでは、いざ! 決戦だ!」

 渋子は若かりし頃の曹操たちと戦おうとする。

「お待ちください! 殿!」

「殿!? いい響きです! 自分が偉くなった気分ですー!」

 しかし孔明に止められる。

「どうして止めるのよ? 孔明。」

「はい。私は武力が高い武将ではありません。ですから我々だけで敵と戦うより、兵士を増やして、智謀で動かすのが良いでしょう。そのためにもガチャを回した方が良いと考えられます。」

「むむむっ!? 課金の催促ね!? 恐ろしい!? なんて恐ろしいゲームを作ってくれたの!? お姉ちゃん!」

 妹はゲームのキャラに課金を催促させてくることに抵抗を感じる。

「今なら何回でもガチャを回しても無料だよ。だって、このゲーム開発中だもの。」

「やったー! ラッキー! Sキャラをコレクションしようっと!」

 妹はガチャを回しまくった。関羽だ、張飛だの三国の魏蜀呉の猛将を編成しまくり、あっさり曹操と夏侯惇夏侯淵をぶっ叩き、クエスト1をクリアする。

「やったー! クリアだ! この調子なら楽勝ね! この調子で曹操クエストをクリアしてみせるわ! アハッ!」

 渋子は勝利の余韻に浸っていた。

「でも、Sランクばかりで味方通しで殺し合いが始まっているわよ。」

「え!?」

 関羽と張飛が手柄を争って戦い相打ちで死んじゃった。もう関羽と張飛は戻ってこない。だって、このゲームはデス・ゲームだもの。

 つづく。

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