第6話 ガチャ、諸葛亮孔明

「それではクエストは曹操の世界と。」

 異世界の騎士が日本の城を攻める。戦国武将が異世界のお城を攻める。ではなく、妹の渋子は中国が舞台の三国志の曹操の世界を選択した。

「あ!? 忘れてた!?」

「今度は何を忘れたの!? 日向お姉ちゃん!?」

「ガチャを回すの忘れちゃった。アハッ!」

 笑って誤魔化す姉。

「ガチャを回して仲間を手に入れましょう。」

「仲間? ゆきえのこと?」

「そう、ゆきえよ。って、なんでやねん!」

 軽いボケとツッコミをする渋野姉妹。

「初回、10連ガチャが無料よ。最上位のURには曹操とか、強い武将が入っているわよ。強い武将が出るといいわね。」

 三国志ガチャである。

「何が出てもいいわよ。どうせリセマラしてURが10枚出るまでやるし。」

 リセマラとはリセットして良い仲間が手に入るまで続けるという、リセットマラソンのことである。

「そうね。リセマラは面倒臭いから、初回は選べるガチャにしてUR1枚は好きな武将を選べるようにしましょう。それなあリセマラしなくていいでしょ。後は課金してね。」

 意外と姉の日向の頭は柔軟で、リセマラ対策をして、プレイヤーに課金させる仕組みも考えていた。

「お姉ちゃん、URは都市機構だし、SSR,SR、R、Nって、分かりにくいよ。普通にS、A、B、C、Dでいいんじゃないかな。」

 妹は一般人の素直な感想を姉に伝える。

「そうなんだ。私はゲーム業界にいるから普通だけど、一般人には分かりにくかったのね。分かったUR曹操をS曹操に置き換えるわ。」

 妹の言葉だから素直に耳を傾けられる姉。

「渋子! 偉い! さすが私の妹ね!」

「やったー! お姉ちゃんに褒められた! アハッ!」

 素晴らしき姉妹愛。姉は妹のことが好きだし、妹は大好きな姉に褒められると嬉しい。

「それではSランクの中から、1人仲間を選んでいいわよ。曹操でも、劉備でもいいわよ。」

「誰にしようかな? よし! あなたに決めた!」

 妹はSランクの仲間を決めた。

「諸葛亮孔明!」

 蜀の天才軍師、孔明を渋子は選択した。

「まあ、渋子にしては良い選択ね。孔明を編成してね。そうすると一緒に戦えるわよ。」

 渋子は孔明を編成しようとする。

「あれ? 編成できないよ?」

「孔明は三顧の礼で仲間になる人だから、編成を3回やると編成できるわよ。アハッ!」

「ややこしい!? 普通に1回で編成できないと、それだけで人が引退しちゃうよ!?」

「そういうものなのね。」

 ということで、孔明も普通に1回で編成できるように改良された。

「我が君主、渋子様に忠誠を誓います。」

「うわあ!? 公明が喋った!?」

「姿はCG、音声は人口AI。憧れの歴史上の人物と一緒に大冒険ができる! 私は、そんなゲームが作りたかったの!」

「さすがお姉ちゃん! 天才ゲーム・プログラマーだね。」

「もっと褒めて! アハッ!」

 次回、妹は姉のサポートを受けながら、異世界戦国物語に挑む。

 つづく。

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