第2話 職業、バニーガール

「ふう~やっと家らしくなったわね。」

 姉のゲームプログラマーの日向が異世界に行ってしまった妹の渋子のために家の台所やお風呂の実装を終えた。

「わ~い! ふかふかのベッド! お布団で寝るの嫌だったのよね! アハッ!」

 異世界に行った妹も憧れのベットを手に入れて、ベットの上で飛び跳ねて上機嫌だった。

「違うー!? お姉ちゃん! 早くログアウトのプログラムを作ってよ! 私、死んじゃう!?」

 妹の渋子は現実に戻った。このゲームの異世界は開発中だったので、ログアウトがなかったので渋子は現実世界に戻ることはできなかった。

「大丈夫よ! ハンバーグもタピオカも食べ放題よ! 直ぐに実装してあげる!」

「やったー! バイキングだ! バイキング!」

 素直に食べ放題を喜ぶ渋子。

「違うー!? なんでタピオカやトイレットペーパーのプログラミングはやってるのよー!?」

「だって食べたかったんだもん。アハッ!」

 姉のプログラミングは自己中心的なフリースタイルだった。

「そうだ! ログアウトを作るのに時間がかかるから、渋子! ゲームをプレイして遊ばない?」

「ゲーム?」

 分が悪いので必死に話題を変える姉の日向。

「そうよ。ゲーム。まず自分の髪型とか目の色を決めるの。アバター作りみたいなものね。」

「面白そう! やる!」

 見てお分かりの通り、渋野姉妹の思考回路は単純だった。

「ツンツン頭ー! おら! スーパー宇宙人だぞ! アハッ!」

「赤い瞳! これで幻術が使えるわ! アハッ!」

 渋子は色々な髪型や目の色を変えて、自分をドレスアップさせる。

「リセット!」

「あれ? 元に戻っちゃった。」

 結局、渋子は元の姿に戻った。

「無茶苦茶な外見になってるわよ。」

「どうして勝手なことするのよ!? お姉ちゃん!?」

「普段のあなたがカワイイからよ。」

「かわいい! やったー! アハッ!」

 カワイイという言葉に弱い渋子だった。

「次に職業を決めましょう。何がいい?」

「バニーガール! うさ耳がカワイイ! アハッ!」

「いいけど、このゲームはデス・ゲームだから直ぐに死ぬわよ?」

 改めて言うが姉の開発途中のゲームで死んだら、現実の世界でも死んでしまう。

「だったら、こんなゲームやらない! プン!」

 拗ねる妹の渋子。

「分かった! 分かった! バニーガールでいいよ。死なないように装備とかスキルとか、スゴイのをあげる。」

「やったー! お姉ちゃん! 大好き!」

 大喜びのバニーガール姿の渋子。

「どんな装備とスキルなの? お姉ちゃん!」

 ワクワクしながら姉に期待する妹。

「これから考える!」

 見事に裏切られた妹はズッコケる。

「もうー!? お姉ちゃん!?」

「待っててね。アハッ!」

 姉の日向はどこか頭のネジが三本は抜けていた。

 つづく。

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