第30話 合同訓練の告知
補佐になってから何事もなく一ヶ月ほど過ぎた。
良かった事といえば放課後に生徒会へ顔を出すためジュリアスと一緒に学園へ通わなくて良くなったことだろう。会話のない息詰まる馬車での移動が無くなったのは本当に嬉しい。
そして毎日放課後に生徒会室へ行くうちに役員たちとも打ち解けて、生徒会補佐として少しは慣れてきた。役員たちも平民ということでミアを差別しなかったのも幸いだった。
「ミアさん、これをランバルト先生に渡してきて」
生徒会長から渡されたのは騎士団養成所との合同訓練の告知の紙だった。
「騎士団養成所と合同訓練?」
「ええ、毎年全員参加で騎士団養成所の生徒と一緒にダンジョンに潜るんですよ」
「ダンジョンですか!?」
ダンジョンは国内に数ヶ所あるが、全てが王国とギルドによって厳しく管理されていて、ダンジョンに入るにはギルドカードが必要だ。
「ダンジョンは素材が豊富だからね。授業で使うための素材採集と実践訓練を兼ねて行くんだよ‥‥‥‥大丈夫だよ、今回一年生は二階層までだし、騎士団養成所の生徒も一緒だから。彼らの訓練も兼ねてるから前衛で護衛もしてくれるからね。」
確かにダンジョンは手に入れることが出来る素材が種類が豊富なうえに、そこでしか手に入れることが出来ない物もあるから素材採集にはうってつけだ。
それに騎士団養成所の生徒が一緒になら、安全を確保しながらの実践訓練ができる。前衛を任せて後衛から魔法を使うことも出来るのだ。
「『今回は』ってことは、これから何度も行くのでしょうか?」
「ええ、年に何度かありますよ。卒業するまでにはロンダン最下層まで潜れるようになれますよ。もちろんパーティーを組めばですけどね」
「‥‥‥‥最下層」
ロンダンはこの街から一番近くにあるダンジョンで比較的攻略しやすく初心者向けだと言われている。それはあくまでも冒険者を基準としているので初心者向けのダンジョンと言っても一般人には到底無理だ。そのダンジョンを最下層まで行けるようになるのは魅力的だ。
素材なら依頼をだして金銭で解決できるとはいっても、簡単な素材くらいは自分で取れた方がいいだろう。
それに危険はダンジョン以外にもあるのだから、自分の身くらい自分で守れるようになった方が良い。現にミアやアルバートは誘拐までされたのだから、世の中なにがあるか分からないのだ。
「凄いですね、‥‥‥‥最下層」
と呟いて、ミアは告知の紙を「渡してきます」と言って部屋を出た。
お嬢様のプチ家出~魔導学園へは行きたくないわ~ 7ふぐ神 @7hugu
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