第28話 生徒会補佐

 ミアの前に座っている女生徒は、突然のことに言葉のでないミアを気にした様子もなく話しかけてきた。


「誰にも言わないから安心して‥‥‥‥それより、お友達になりましょうよ」


 ニコニコと友好的な態度と言葉に戸惑い、彼女の真意をどう捉えたらいいのか分からず、咄嗟に言葉が出てこない。


 ミアがローズに渡された指輪がないと魔法を使えないことは一部の人間しか知らない。それなのに彼女の発言はどういうことだろうか。


 もしかして知っている?


 会ったこともない彼女が敵か味方かも分からないのに素直に頷けない。周りを見回して二人の話を聞いている者がいないのを確認すると自分でも驚くほど落ち着いた声がでた。


「魔法を使えないと学園へは入学できませんわ」

「ふふ‥‥‥‥そうね‥‥‥‥魔法のことはともかく、お友達になるのは良いでしょう」


 そう言ってミアの手をとり、嵌めている指輪を意味ありげに触ってきた。

 彼女の目的が何か分からず気味が悪い。しかし無下にするのも怖いし、友達が出来そうにないミアにとって、彼女の申し出は悪くはなかった。彼女が何を目的に近づいてきたのか分からないが、味方が欲しいミアは友達になろうという申し出を受けることにする。


「‥‥‥‥お友達になるわ」

「アリエッティ・マックウェイよ、仲良くしましょうね」


 アリエッティはミアの返事は当然だというように、にっこりと微笑んだ。


「ミア・マグナスです、よろしくですわ」





 翌日の昼休み、ミアたち生徒会補佐に選ばれた三人は呼び出されて生徒会室へきていた。生徒会室には会長と副会長、会計がいて、三人はソファーに座って会計がいれてくれた紅茶を飲みながら補佐の仕事について生徒会長から説明を受けていた。


「補佐の仕事は僕達の手伝い‥‥‥‥正確には、雑用係だよ」

「‥‥‥‥雑用」

「がっかりしたかい?」

「いえ‥‥‥‥」

「だから気楽にしてくれたらいいよ」


 生徒会補佐というからどんなに大変なことをさせられるかと思っていたが雑用係と聞いて肩から力が抜けた。しかし会長の次の言葉で再び身が強ばる。


「来年には生徒会に正式に入ってもらうけどね」

「え」

「‥‥‥‥」

「どういうことですか?」


 アルバートの問いかけに会長が少し複雑そうな顔をした。


「生徒会に入るには入学式の時に選ばれて補佐になってからと決まってるんだ。僕たちも一年の時に補佐をして二年から正式に生徒会入りしたんだよ」


 あり得ないわ‥‥‥‥補佐でも有り得ないのに生徒会に正式に入るなんてとんでもない。


「辞退は出来るんですか?」

「いや‥‥‥‥辞退は認められていない」


 会長とアルバートの会話を聞いて、ミアは大きなため息をついた。

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