第18話 魔導研究所 4
アルバートのことは気になったが会うこともなく婚約式の前日になった。特にすることもなく部屋で寛いでいると、父様から魔導研究所へ行くように言われて、玄関で待っていたセスと一緒に家を出る。
最近はセスが護衛につくことが多くなっていたことから、ダンジョンに行くのを止めて護衛を受けてくれているのではないか、という考えが頭に浮かぶ。
「セスさんに護衛をしてもらって、私は嬉しいんだけど‥‥‥‥もしかして、父様が無理をいって仕方なく受けてるとかかな?」
「そんなことないよ~、急にどうしたの?」
「ダンジョンへは行かないのかな? って思ったから」
「ああ~、ダンジョンにはね、ずっと潜ってるわけじゃないよ‥‥‥‥疲れるんだよね‥‥‥‥だから、こんな風に一人で依頼受けたり、あと遊んでる時もあるんだよね~」
「そうなのね」
「うん、だからミアちゃんが気にすることは、な~んもないからね」
父様が強引にお願いしたわけじゃないと分かって胸を撫で下ろしていると、いつのまにか魔導研究所の建物の前まで来ていた。中に入って名前を告げるとローズの研究室へ通される。
「ちょっと待ってて」
ローズはチラッとこちらを見ると机の引き出しの中をあさり「あった、あった」と何かを持ってミアに近づいてくる。渡されたのはシルバー地の三連リング指輪で、よく見ると細かい石が混ぜられていてキラキラと光を反射している。
「これは?」
「それつけて」
ローズは質問には答えず、ミアが指輪を嵌めるのを待っている。
ミアはローズから答えてもらうのは無理そうだと諦めた。
ローズに渡された指輪はミアの指には大きいようで、どの指につけようかと迷ったが、中指に嵌めるとぴったりの大きさに変化した。驚いていると、ローズに透明な魔石を渡される。
「魔力流してみて」
ローズに渡された掌の上の魔石をみて、どうしたらいいのか躊躇うが魔石に魔力を流すように念じていると、身体の中で何かが動く感じがする。それに意識を集中していると魔石が少しだけ輝いた。
身体の中の魔力を動かすのは、激しい運動をしているようで、慣れない行為に息があがる。
「はぁ、はぁ‥‥‥‥はぁ」
「はあ、良かった、大丈夫そうね‥‥‥‥何とか間に合ったわ」
「い‥‥‥‥まのは?」
「ミアちゃんが魔石に魔力をこめたのよ」
「!‥‥‥‥私、魔法が使えないから出来ないはず‥‥‥‥」
「ええ、出来ないわ、指輪がなかったらね」
「‥‥‥‥指輪‥‥‥‥のおかげ!?」
「そうよ、でも練習が必要ね。その魔石も持っていきなさい」
練習すれば徐々に楽に魔法を使えるようになってくるから、と魔石も渡されて家で練習をすることになった。
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