第13話 婚約が決まる
一週間ほど過ぎた頃、ミアは仕事から戻ってきた父様に呼ばれ、部屋へ行くと想像もしていなかった話をされる。
「ミアとジュリアスの婚約が決まった」
「えええ! お父様、どうして!‥‥‥‥私と、ジュリアスが婚約って」
何でどうして私とジュリアスが婚約なんて話になってるのよ? あり得ないわ。
「今までにも何度か話は出てたんだがな、学園に行く前にしておくのがいいだろうと言う話になってな」
「ジュリアスと婚約なんて‥‥‥‥嫌です」
ミアの口から発せられた言葉は抑えられてはいたが僅かに強ばっていた。ミアの気持ちを無視して、何も聞いていなったかのように父様が言ってくる。
「婚約式は十日後に行うから、そのつもりでいなさい」
「お父様!」
いつも意地悪してくるジュリアスと結婚なんて考えたくもない。どうにかして婚約話を白紙に戻すことが出来ないかと考える。
学園への入学が取り消されたら、婚約もなかったことに‥‥‥‥ならないわね。
そんなことを思っていたら、学園のことで大事な話があったことを思い出した。
「あ、‥‥‥‥お父様、大事なお話が」
「ん?」
「学園のことですが‥‥‥‥魔法が使えないと入学の許可が取り消されるそうですわ」
「ああ、その事なら心配ない」
入学は絶望的だと思われるのに慌てた様子もなく、父様は以前からこの話を知っていたようだ。
「どういうことですか」
「入学に関しては心配しなくていい、何とかなるだろう。それより婚約の準備をしておきなさい」
納得できないまま部屋から追い出され、ミアはため息をつくと「魔導学園のことも頭が痛いけど、ジュリアスとの婚約なんて、もっとあり得ないわ」と呟いた。
部屋に戻ると侍女のリリーが様子を伺うように聞いてきた。
「お嬢様、旦那様のお話‥‥‥‥良くないことでしたか?」
「‥‥‥‥ジュリアスと婚約が決まったって‥‥‥‥」
「それは‥‥‥‥おめでとうございます」
「本気で言ってるの?」
リリーはジュリアスがミアに、いつも意地悪してくるのを知っている。それなのに、おめでとうと言われてミアは頬を膨らませる。
「申し訳ございません」
「もう、いいわ」
リリーは真面目な顔で謝っているが面白がっているのが分かる。リリーにあたっても仕方がないとは思っても気持ちが収まらず、ミアは拗ねたように唇を尖らせた。
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