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 マルス達の行動は、本当にSNS炎上を防ぐ為の物だったのか? しかし、それを証明できるような要素は存在しない。

実際、SNSやニュースサイト等では彼らの行動をバズり目的のSNSユーザーとひとまとめにしているサイトも存在した。

その理論で言うと彼らもまとめサイト勢力に対抗しているはずなのに、同じ事をしている事にもなるだろう。

【草加市内だけ大騒ぎなのか?】

【違うだろう。関東のテレビ局が、集中してこちらを取り上げている】

【何故に今更? 取り上げるとすれば、あの炎上勢力を摘発したタイミングでは?】

 そこまで大きな騒動なのに報道しているのが特定の民放である。しかも、ピンポイントで報道バラエティーでばかり。

まるで広告会社に踊らされている感じがするのだが、それを把握出来るであろう人物がSNSを見ている人物でいるのか?

残念ながら、それを指摘できるようなユーザーが閲覧している様子はなく、状況は明らかにマルス達へ不利な方向で動きつつある。

視聴率を取る為にも、広告会社はこれでもかとマルス達にネガティブイメージを与えるべく、暗躍してしていた。

【しかし、本当に真実を報道しているのか? 明らかに芸能人司会者の人気を利用してのネガティブイメージレッテル張りだろう】

【何故、そう断言出来る?】

【どう考えても、ヴァーチャルレインボーファンタジーには大手メーカーは関与していない。炎上させて適当な所で強奪する位、あの広告会社には――】

【過去にあるWEB漫画が最終回直前で映画化等を発表し、大炎上した事がある。あれが広告会社主体と言われて――】

【それこそフィクションとノンフィクションが――と言う話になる】

【あの作品は存在しない。お前達は別の世界の事件が見えているのか?】

【別の世界? まとめサイト等のフェイクニュースに惑わされているのは、そっちでは?】

 SNS上でも様々な混乱が見られるようだが、真偽のほどは定かではない。

これらは一般ユーザーに偽装した広告会社アカウントであり、その目的が超有名アイドル宣伝のマッチポンプと言う説も出ている。

SNS上の情報が真実と思いまとめサイトを数はいする勢力は壊滅したと言ってもいいだろう。

「やはり、この世界はもう一つの世界の闇を、ネガティブイメージを受け過ぎて変わってしまったのか?」

 それでもSNS上の闇は壊滅したと言いづらいのは事実かもしれない。それを肌で感じていたのはマルス自身なのだから。

プレイヤーに勝利していく内、彼は様々なスキルを身に付けていく。ビスマルクの言っていた事も、適当に見えてまじめだったのかもしれないだろう。



 マルスが様々なプレイヤーと対戦し、勝利していく中で――ある人物に遭遇する。彼女はバトルをする為に、接触した訳ではない。

「アルストロメリア――」

「ようやく見つけた――」

 マルスは目の前の人物が、あのアルストロメリアだと把握している。彼女の服装自体は画像をチェックしていたので、分かっていたのだが。

一方のアルストロメリアはマルスの外見を知っている訳ではないのに、ピンポイントでマルスだと思って接触をしている。

「プロゲーマーでありコスプレイヤーの――」

「二次創作メアリー・スーである事がまとめサイトで炎上――最終的は、独自の意思を持ってこの世界を消そうと願おうとした」

 お互いに武器は外見には似合わないだろうビームサーベルを選び、それを構える。

更に言えば、お互いに――正体は把握済みなのだろうか? 相手のプロフィールを解説するかのように話し始めた。

「そこまで分かっていて!!」

「お前はまとめサイトと同じような炎上を行うのか! この世界で!」

 マルスはアルストロメリアを止める為に剣を取り、アルストロメリアはSNS炎上に終止符を打つ為に剣を取った。

お互いに目的は違うのだが、このバトルは予想以上の展開を迎え、日本全土に配信される事となる。



 こう言う状況になっているのを知らず、舞風まいかぜはマルスの元へと急ぐ。

自分も手分けして別のまとめサイト勢力等とバトルをしていた関係もあり、マルスの現在いるフィールドからは離れている。

(まさか、マルスはアルストロメリアに――)

 舞風のいる場所は一キロにも満たないのだが、道が歩行者天国等になっている関係上、最短で行く為には――乗り物が必要だ。

周囲を確認し、歩道近くに何かの端末を発見する。ARマシンであれば、ジャンルによっては自転車等よりはスピードが出るだろう。

目視で確認出来たARガジェットの端末、その正体は何と――。

(このゲームは、あまり触れたくなかったけど)

 舞風がARガジェットをタッチスペースに接触させると9、周囲に突如として警報音が鳴りだした。

『パルクール・サバイバー、特殊ガジェットを射出します。危ないですので、白線エリアの外でお待ちください』

 まさかのアナウンスに対し、周囲が驚くのは言うまでもない。舞風のいる場所は白線エリアの外なので、問題はないだろう。

該当エリアにいたギャラリーはいないのだが、次の瞬間にはカウントダウンが始まった。そして、カウントダウンがゼロになったと同時に――。

「ARギアガジェット。パルクール・サバイバー専用のパワードスーツ型操縦タイプの大型ガジェット――」

 目の前に現れたロボットにも似たようなフレーム、舞風がガジェットを認証させるとフレームにアーマーが装着されていく。

アーマー装着後、操縦席にも似たようなシートに座った舞風はもう一つのスマホサイズのガジェットを取り出し、それをガジェットスペースに差し込む。

「やるしかない! 全てに区切りを付ける為にも」

 マルスとアルストロメリアは激突する運命だったかもしれないが、それでもタイミングが悪すぎる。

今の状態で激突すれば、確実に炎上するだろう。それこそ、広告会社のカバーストーリー通りに。

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