13-3
別支部のスタッフに偽装していたのは、まとめサイト勢力と思われたが――実は違っていたのである。
バズりで悪目立ちしようとする――正確な情報伝達さえも妨害する悪しき炎上勢力、それが攻め込んできた勢力の正体だった。
「最終決戦を前に、水を差そうと言う勢力がいたとは。この場合は勢力と言うよりは個人か」
単純にパニックだけを呼び込み、正確な情報伝達さえ妨害し、単純に炎上を祭りとして盛り上げていく存在――。
それは
単純な対処法としては、SNSアカウント所持に本人証明が出来る書類を必須とする、サイトその物を使用不能にすると言う手もあるのだが――それが不可能なのは目に見えている。
「我々が立ち向かうべきは、悪しき連鎖。それを断ち切る為にも、出来もしないような人間が暴走して全てを炎上させる事――それこそ立つべきなのだ」
瀬川は何としても今回の一件を止めなければいけないと思っていた。
一連の三次創作が巻き起こしたヴァーチャルレインボーファンタジーを巡る事件は――遂に現実とリンクし始めてきたからである。
これを止める為には、自分達の力だけではどうしようもない。だからと言って、今回の件を草加市に投げる訳にもいかない事情があるだろう。
そこで瀬川が取った手段、それは――。
ハヤト・ナグモ以外のメンバーで、アルストロメリアに挑戦する人物はいたのだが――返り討ちと言う展開になっていた。
レッドカイザー、黒のシュヴァリエ、ナイトブレイカーも太刀打ちできないでいる。あっさり負けた訳ではないのだが、彼女の対応能力が高い証拠だろう。
(もしかすると、そう言う事か――)
ガングートはナイトブレイカーとの対戦動画を視聴し、彼女が単純に炎上勢力等と共闘をしている訳ではないと分かった。
元々、彼女の性格を考えれば――おおよその予想は出来る。しかし、まとめサイト等の情報を信じると、まるで同調していると読めるような記事もあった。
「全ては情報を巧みに操作するまとめサイト勢力が原因と言う事か。この世界も自分の世界と同じような――」
ガングートは自分の世界だけでなく他の世界にまで介入し、炎上させていくSNS炎上勢力を許せないでいる。
彼らのやっている事は、自分のストレス発散の為に他人を炎上させるという行為で、それがチェーンメールのように拡散していき――世界は炎上するのだ。
それを阻止する為に戦っていたはずなのに、他の世界でも同じような物を見せられる事に対し、ガングートは苦悩している。
瀬川やガーディアン等が様々なSNS対策を行う一方、
目の前にはメイド服のコスプレにツインテールと言う外見の――。
「ビスマルク? 何故、あなたが――」
舞風の自宅に現れた人物、それはビスマルクだったのである。
何故、彼女がここまで来たのか――その理由は分からない。あのメールの件だって、全てを受け入れた訳ではないのだから。
「今回は君に用があった訳ではない。マルスに用がある――」
ビスマルクはマルスに会いに来たらしい。このタイミングで会いに来た理由は分からないが――。
「そうだ、君にもひとつ忠告をしておこう」
(?)
「犯人は――君の近くにいるかもしれない、そうメールを送ったのは覚えているな」
メールは途中までしかチェックしていなかったが、その部分まではチェックしていた。
そして、舞風は犯人が誰なのかを尋ねようとするのだが――それとは別にビスマルクが口を開く。
「その犯人は、SNSの闇その物だ。彼らが騒ぎを広めた結果こそが、鍵の持ち主を具現化し――あのシナリオを再現しようとした」
「えっ? 犯人は三次創作で炎上させている勢力ではなくて――」
「それを含めて、SNS上の闇、ネガティブ感情と言うべきか。それが被害を広げ、修復不可能なまでに炎上を続けているのだ」
「それじゃあ、どう考えても私たちで対処する事は――」
舞風も、さすがにこれは困惑するしかない。真犯人は何となく把握出来ていたのだが、まさかの真実と言えるだろうか。
実際、メールにもそれは書いてあったのだが――その部分はまだチェックしていない。
「個人で対処するには限界があると言う事だ。こればかりは――な」
ビスマルクも完全にお手上げモードなのだが、対応策がゼロと言う訳ではなかった。
実際、他のガーディアン勢力も総動員で様々なまとめサイト等を閉鎖し、炎上の規模を広げないようには対応している。
それでも、ガーディアンの人員には限界がある以上、必ずどこかで炎上が続いているのは間違いないだろう。
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