12-2
デンドロビウムは『ヴァーチャルレインボーファンタジー』のタイトルに関しての謎、それを解き明かそうとしている。
レインボーは二次創作、ファンタジーは冒険と言う意味で問題はないだろう。問題は、ヴァーチャルだ。
「仮想現実――ではWEB小説の一次創作系と被るか。しかし、掲載されていたサイトや場所的にも二次創作には出来ない物だっただろう」
パソコン上にはまとめサイトが表示されているが、そこでは情報が得られる事はなかった。その為、デンドロビウムは別サイトをブラウザで立ち上げる。
その内容は、ある意味でも『ヴァーチャルレインボーファンタジー』を取り扱っていると言ってもいいファンサイトだった。
(ヴァーチャルの意味合いは――様々な説が多いようだが、あえて未設定と言う事なのか?)
あるメーカーの制作したゲームにはユーザーに解釈等をゆだねるような作品もある。
単純に丸投げなのではないか――と言われるような方法かもしれないが、逆にそこから様々な物を生み出すような勢力もいた。
それが、もしかすると『ヴァーチャルレインボーファンタジー』を生み出す土壌になったのかもしれない。
(しかし、この場合は同人と言うケースになるだろうか。大手メーカー等の事例ではない)
この場合は公式が二次創作を推奨するようなケースなのかは定かではないだろう。
しかし、ルールを全く作らずにユーザーが暴走した結果――と言うのもデンドロビウムは知っている。
それが――実在人物を題材にして炎上した二次創作小説だった。この事例があった為か、草加市内で芸能活動するような実在アイドルは少なくなったのである。
(そうか。そう言う事か――あの事例がきっかけで、この作品が生まれ――)
何となくだがサイトの記事を見て、デンドロビウムはこの作品が生まれた理由を悟る。
リアルで活動して自分を題材とした二次創作が生み出され、そこから芸能活動を妨害されてしまうのであれば――2.5次元アイドルで活動すればいい、と。
しかし、2.5次元のバーチャルアイドルであれば平成の終わりごろから出始めており、令和のこの時代では珍しい技術ではない。
(後は、この作品が伝えようとしているメッセージか――)
メッセージ性のある作品で内容が伝わりにくい、中には別の意味で把握して炎上するような作品だってある。
それを踏まえると、この作品が伝えたいメッセージとは――デンドロビウムは、引き続き情報を調べる事になった。
その日、バトルは大きく動きだす事になった。草加市内のARフィールド、そこにはアルストロメリアの姿があったのである。
その目の前にいたのは、何とマルスだった。この場合はマルスが対戦後に乱入してきたというべきか?
「マルスって名前だけ聞いても、あまりピンとはこないなぁ――」
アルストロメリアの視線は飛行しているドローンカメラやモニター用カメラには向いておらず、数メートル先にいるマルスの方を向いていた。
マルスの方も、正面にいるアルストロメリアをにらみつけている様な気配だが――。
「アルストロメリア、あなたも鍵を――」
「鍵と言われても、蒼流の騎士には言われたけど――覚えがないのよ」
彼女の発言はふざけている訳ではない。なのに、真実を語っていると言われると疑いが残る。
ここはやはり、若干強引と言われても戦うしかないのだろうか。
【まさか、これだけ早く見られるとは】
【アルストロメリアとマルスの激突か。公式大会のプロゲーマーレベルではないが、話題性は十分だな】
【しかし、この対戦カードで観光客が来るのか?】
【噂によると、SNS炎上勢力は一掃されたらしい。迂闊に地雷を踏んだと言うべきだな】
【まさか?】
この様子を見ていたライブ映像視聴勢も、驚きを隠せない。これだけのカードを早い時期に見られる事に。
実際、ARバトルロイヤルの公式大会は計画中の噂はあれど――実際に行われるかは定かではない。
それを踏まえると、この結果次第で観光客が再び集まるか決まるのかもしれないだろう。
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