第12話:過去と未来
アルストロメリアの一件が様々な分野に影響を及ぼしそうな気配を見せていたのだが、それは杞憂に終わる事になった。
七月二日、SNS上で話題になっていたのはとある実況者を題材にした二次創作小説が表に拡散された事だろう。
その実況者の話題でアルストロメリアの話題を上書きしてしまったのである。彼女としてはラッキーかもしれないが、実況者ファンにとってはショックだろう。
【まさか、こうも上手くいくとは】
【やはりというか、色々と火種になりそうな物はあった。まさか――こちらを囮にするとは予想外だ】
【過去に週刊誌がアイドルをスクープしていたように、今はこう言う事も出来る――形は変わっても、歴史は繰り返されるのだよ】
【一般人が向こうへ視線を向けている隙に、こちらはこちらで動くとするか】
【あの管理人の後始末をする事には、こちらも――】
【それ以上は言うな。あれはガーディアンの方が先手を打っていた事に問題があった物だ】
【今度こそ、我々が民度の低い低俗の炎上と同じにされた芸術を――】
一連のコミュニティのやり取りは、他の人物には見られていない鍵アカウントの物である。
彼らはまとめサイト等とはレベルの違う、SNS炎上に芸術性を求める勢力だった。
彼らは過去にもガーディアンと戦った事があるのだが――全てが返り討ちとなっている。
【我々は、昔のネット荒らし等とはレベルが違う――】
【それを証明する為にも、まずは七つの鍵の持ち主を――】
【おい、何かおかしなネームの人物がログインしているが?】
ある人物の指摘を受けて、コミュニティ主がログインしているユーザー名を確認する。
そして、その人物名を見て――まさかと考えた。明らかに彼らの行動は先手を打たれていたのだ。
実況者の所属事務所から依頼を受け、単独でSNS上の調査をしていたのがデンドロビウムだったのである。
まとめサイトに載っていたログから何か怪しい物を感じて、調査をした結果――有名なまとめサイト勢力を発見した。
彼らとは過去にも接触履歴があり、そこから彼らが実は影で七つの鍵を操ろうとしていた事も判明している。
全てはSNS依存、フェイクニュース、まとめサイト等のSNS上の闇が生み出した事件だったのだ。
「まさか、ヴァーチャルレインボーファンタジーを選んだ理由って――」
何故に彼らがこれを選んで炎上させようとしていたのか? デンドロビウムには何となくの理由は分かる。
本当のテーマがタイトルにも隠されており、それを踏まえれば――何となく最初にマルスを選んだ理由も察する事が出来た。
「レインボー……虹、そう言う事か」
単純な言葉遊びだが、難しくするよりは単純にしておけばメッセージが伝わると作者は思ったのだろう。
レインボーが意味するのは、虹ではなく――二次創作の方だったのだ。しかし、ヴァーチャルは両方の解釈が出来る位には――。
「実在人物さえもファンタジーと言う事で二次創作の題材に――? まさか、本当の狙いは――」
ファンタジーには様々の意味があるかもしれないのだが、実在人物も鍵に関係するとすれば最初にマルスを選んだ理由にはならない。
それならば、最初に超有名アイドル等をモチーフにしたモドキキャラ等にすれば解決するはずだ。
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