第15話

 僕は今日、学校の放課後にファストフード店に行こうと千歳に誘われた。


 僕、千歳、千歳の友達の女子二人で女子会だ。まあ、僕女子だって認めてないけど。


 行き先は駅前のハンバーガーショップ。女子と一緒にファストフード店に行くのは初めてだ。


 入店し、それぞれ注文する。千歳とその友達の女子二人は控えめなサイズのハンバーガーのセットを注文する。


 一方僕は一番大きなハンバーガーのセットを頼んだ。


 そして四人は空いてる四人席を探し座る。


「最近ダイエット中なんだぁ〜」


「私もー。やっぱカロリー気になっちゃうよね」


「優希結構大きいの頼んだよね、太らない?てか食べきれる?」


 女子高生はやっぱカロリーとか気になるのか。


 カロリーのことなんて気にしたことのなかった優希は言われて初めてそういう視点もあったことに気がつく。


「大丈夫、食べきれるよ」


 ハンバーガーを食べながら四人の話は弾み、話は恋バナへと移っていく。てか女子高生3人と普通に会話できてる僕凄くない?


「由美は彼氏いるもんね、いいなぁ〜、私も彼氏欲しいなぁ〜」


「彼氏なんかいてもいいことないって、結構喧嘩ばっかりだし」


「彼氏がいるからそんなこと言えるんだよ。そういや、千歳は彼氏いるの?絶対モテるでしょ」


「いや、私はいないよ」


「嘘だぁ〜、絶対告白されてるはずだし、なんか彼氏を作れない理由があるのかなぁ〜?」


 千歳が顔を赤くする。そして恋バナの標的は僕へと移る。


「優希くんは誰かいるの?」


 聞かれた瞬間僕の脳裏に亮平の顔が浮かぶ。なんであいつの顔が出てくるんだよ。


 僕は必死に脳内に浮かんだ亮平の顔をかき消す。僕が好きなのは千歳なんだ。


 しかし、好きな人が千歳だと言えるわけがない。


「い、いないよ…」


 僕は誤魔化す。


「あー、その顔はいる顔だぁ〜、誰々?」


 女子の観察力は厄介だ。早くこの話を終わらせたい。


「てかそもそも優希くんは男の子が好きなの?女の子が好きなの?」


「そりゃ女の子に決まってるじゃん」


「確かに優希くんの中身は男の子だし、女の子を好きなのは当然かもしれないけど。でも身体は女の子だよね?結婚ってなったとき相手は男の子じゃないと」


「け、結婚⁉︎」


 いきなり結婚の話になるとは思わなかった。ウェディング姿を着た僕の姿を想像する。


 僕がウェディングドレスを着て、千歳もウェディングドレスを着る


 それを想像した僕は自分の境遇を憎たらしく思う。


 この身体じゃ千歳と結婚もできないし子どもも作れないじゃないか。


 新しい身体の辛さを痛感されたれた僕だった。

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