第3話

 とうとう来てしまった、この日が。

 そう、今日は登校日だ。

「あーーーーーやだーーーーー!学校行きたくなーいー!」

 この体をクラスメイトや先生にどう説明すればいいのだろうか。

 もともと僕の顔は女顔だったから隠せばなんとかなるかもしれない。

 だが隠していてもいつかバレるかもしれない。

 ピンポーン。チャイムの音だ。

「優希―、学校行こー!」

 千歳の声だ。

 あいつめ、俺の葛藤も知らずいつものように呼びに来やがって。

 もちろん千歳に悪意がが無いことはわかっているのだが、やり場のない怒りが湧いてくる。

 仕方がないので僕は制服に着替える。

 はぁ、この胸どうしようかな…、正直隠せるようなサイズではない。

 だからといってさらしをつけるのか?

 いや、さらしは胸の形を崩すって聞くしなぁ…。

 男に戻れる目処が無い以上この胸の形を崩したくない。

 僕は仕方なく昨日買ったブラを身につける。

 一昨日まで男だったのに、今ブラをつけてる自分が恥ずかしい。

「優希遅いぞ!え?まだ着替えてるの?早くしてよ」

 待ちきれなかった千歳が部屋に入ってきた。

「おい!ノック無しに勝手に入ってくるなよ!」

 自分で自分の姿を確認するのも恥ずかしいのに、更に他人に見られるのは屈辱である。

「着替えの遅い優希が悪いんじゃない!遅刻しちゃうでしょ」

 千歳に急かされ優希は着替え、そして学校に向かった。

 教室に着いた。

 そして、すぐに女の子になってしまったことがバレた。

 不覚だった、今が夏服期間だということを忘れていた…

 ワイシャツからブラが透けて見えていたのだ。

「いや、これは違うんだ…みんな聞いてくれよぉ」

 当然、まず周りの人間にはとうとう女装癖に目覚めたと勘違いされた。

 そして、つい口から女体化してしまったことをこぼしてしまった。

 学校は大騒ぎになり担任と校長に呼び出され事情を聞かれる。

「朝目が覚めたら女の子になっていたって、具体的にどういうことなんだ?」

 担任が聞いてくる。

「いやよく分からないんですよね、ほんと朝目が覚めたら突然女の子になってたので…原因に心当たりがないんです」

 担任は困り果てた顔になり、

「はぁ、原因も分からず解決策も検討がつかない。今後元の姿に戻れないとなると学校での扱いはどうすべきですかね?」

 と言った。校長も悩ましい顔で

「女の子として扱うべきか男の子として扱うべきか…」

 と言いながら頭を抱える。

 正直女の子として扱われるのはごめんだが、この身体で今まで通り男子と同じ生活を送るわけにもいかない。

 議論の末に結局女子と同じ生活を送るよう言われた。

 着替えは女子更衣室、トイレは女子トイレを使えとのことだ。

 これは女子たちのブーイング待った無しだなぁ…

 更に制服は女子用の制服が支給されるらしい。

 これから女子の制服で毎日登校なんて、精神的にキツい。

 早く男に戻る方法見つからないかなぁ。

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