第4話
教室に戻った僕は質問責めに遭っていた。
「ねえ、おっぱいは何カップあるの?」
「下はどうなってるんだ?」
「ちょっとおっぱい触らせろよ」
みんななかなかにデリカシーのない質問をしてくる。
「えっと…それは…」
一度にたくさんの質問をされ僕は返答に困ってしまう。
「みんな騒ぎたくなる気持ちはわかるが一旦席につけー」
遅れて担任が教室に入ってきた。
「見ての通り藤原は女の子になってしまったらしい。校長と話し合って来た結果、藤原を女の子として扱うことにした。トイレ、更衣室は女子のものを使ってもらうことになる。また、明日以降女子の制服を着て登校してもらうことになる。」
当然クラスにブーイングの嵐が巻き起こる。
男子に同じ更衣室やトイレを使わせる訳にはいかないという女子の声。
そして、羨ましいという男子からの声。
「女子のブーイングは分かるけど、男子はなんなんだ…」
クラスはパニック状態だったが、とりあえずいつも通り授業が行われ昼休みを迎えた。
「お前も大変なことになったなぁ」
声をかけてきたのは同じクラスの平 亮平、僕の数少ない友達の一人だ。かなり整った顔立ちをしており、女子からの人気が高い。
「この状況を心配してくれるのはお前だけだよ」
言いながら友達の大切さを実感する。
「そりゃまあ、お前の顔を見てればいつも以上にストレスが溜まってることくらいすぐに分かるよ」
さすが亮平の観察力だ、と僕は思った。たしかに亮平はイケメンだが、観察力の高さもモテる理由の一つじゃないかと僕は思う。
「それで、その身体どうするつもりなんだ?」
「一応病院には行ってみたんだけど、医者には信じてもらうどころか笑って追い返されたよ。ネットで症状や原因を調べてもみたが、さすがに前例がないみたいで…」
「戻る目処が立ってないってわけか…まあ、お前結構可愛いし女の子になっちゃったんならなっちゃったで、それはそれでいいんじゃねえか?」
「冗談言わないでくれよ」
17年男として生きてきたのに突然、君今日から女の子として生きなさいと宣告されてはいはいそうですかと受け入れられるわけがない。
「そうだ優希!俺らで部活作ろうぜ!」
「お前は突然何をおかしなこと言い出すんだよ」
「いやいや、お前の身体を元に戻すためにみんなで知識を出し合う部活、優希部」
「そんなん通るわけねぇじゃん、てか通ってたまるか」
結果、すんなりと部活はできてしまった。そもそもおかしなことが起きて学校がパニック状態だったため、亮平が部活新設を先生に申請したところすぐにOKの返事が返ってきたらしい。
部員3名、僕と亮平と千歳で優希部の活動が始まった。
噂というものは早く広がるもので、この話を聞きつけた千歳はすぐに入りたいと申し出てきた。千歳が絡むとろくなことにならない。
僕たちのちょっとおかしな学園生活が幕を開けた。
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