第137話 モンスターとは……?
「ほっほっほ。どうやら小型が動き出しそうですな」
先程までロピのスリングショットの攻撃を警戒してなのか小型はこちらを観察していて、動かなかった。
だが小型もこれでは状況が改善しないと思ったのか再び攻撃を仕掛けるつもりらしい。
「リガスは小型の突進を防御、チルはいつも通り頼む」
「ほっほっほ。お任せください」
「アトス様の為に頑張ります」
そして小型が動くタイミングでリガスとチルも動き出す。
「チル様先程と同じく私が一度小型の攻撃をガードします」
「分かった」
リガスは小型に接触するか、しないかの瀬戸際で盾を地面に突き刺す。
「カネル!」
小型が盾に衝突するがリガスはビクともしない。そしてここまでは小型も分かって居たのか再び回転して尻尾による連続攻撃をする。
「虫如きが忌々しい。チル様避けてください」
「分かっている」
二人は尻尾による攻撃を避ける。だが小型はそのまま回転を利用して三撃目の連続攻撃を始めた。
「クッ、これでは攻撃に移れませんな」
「小型に近付けない……」
小型がコマみたいにクルクル回りながら攻撃をしている為前衛は近付けないでいる。もちろん今までこの様な攻撃をして来たモンスターは見た事が無い。
それに今までと違う点は明らかに状況を読んだ攻撃をしている事だ。
今まで相手をした小型は常に突進するだけだったのが、今回の小型は戦闘の状況を把握してそれに合わす様な攻撃や行動を取っている様に思える……。
「クソ、これじゃ前衛が攻撃出来ないな。ロピいけるか?」
「任せて! フィンフショット!」
小石に五秒間の雷付与をしてロピは小型に対して撃つ。
「アタック!」
そして俺はロピと小型の間に赤ラインを敷く。ロピの撃った雷弾はバチバチと音を立てながら小型の顔にヒットする。すると一度仰け反る様に身体を動かし嫌がる様に再度後ろに下がったのである。
「ロピの攻撃をかなり嫌がっているな」
「だよね? だよね?!」
チルがいつも小型に放つ強烈な攻撃とは違うが、ロピの攻撃も確実にダメージを与えているのは間違いない。恐らく何発、何十発と当てて行けば一人で倒しきれるだろう。
本来遠距離攻撃の要である弓矢ではモンスターに矢が当たっても、突き刺さる程度だがロピの撃った電弾は小型の外装を突き破り体内にまで侵入している様子だ。
その証拠に小型は電弾が当たった箇所から液体みたいなものが流れ出ている。
「貫通力すげぇーな……」
「う、うん」
「俺には使わないでくれよ……?」
「てか、人間相手には止めとこうかな」
「そうしてくれ」
ロピは改めて自分が撃った攻撃の威力を見て驚いている。そしてそれは俺達パーティ全員だけでは無くこの場に居る冒険者や商人達もである。
「ほっほっほ。本当にロピ殿の攻撃は驚きますな」
「やはり、姉さんは頼れる……」
「二人共もっと言って!!」
「三人共戦闘に集中!」
小型が再び動き出す、そしてリガスが盾でガードした後に連続攻撃をされてリガスとチルが避ける所までは先程と全く同じパターンだった……
だがその後、小型の行動パターンが変わった。回転による連続攻撃によってリガスとチルを引き剥がすと同時に小型は俺とロピの所に向かって来た。
「な、なんでー!?」
「や、やべぇ……」
ロピと俺は慌てる。
今まではリガスが小型の注意を常に惹きつけていたので後衛が狙われる事などほとんど無かった。それはリガスのスキル能力、そしてスキルレア度的にも小型を惹きつけるからである。それが今回に限っては明確に後衛を狙っているのか俺達に一直線に向かって来ている。
「やっぱり、この小型はいつもと違うぞ!!」
「と、とりあえず逃げよーよ!!」
先読みを使って俺とロピは小型から逃げるが、元々この休憩所自体広くない為逃げ場が全然無いのだ。俺とロピは直ぐに追い詰められてしまう。
「クソ……、逃げ場が無いと先読みも意味ないな」
「お兄さんどうしよ……」
「私が皆さんをお守りします」
リガスとチルも追い付き今は四人で小型と対面している。そして小型は攻撃を開始する。
「カネル!」
リガスのスキルにより一撃を防ぐ。だが小型に取っては言わば初撃は捨て攻撃だろう、すぐさま二撃目である尻尾攻撃が来る。
「皆さん、避けて下さい!」
リガスの掛け声と共にそれぞれ避けに徹する。すると四人が逃げた場所が全然違った為一人一人が孤立する形になってしまう。そして四人の中で小型が標的にしたのは……。
「俺かよ……」
小型はこちらに向かって来る。
「お兄さん、逃げて!」
「アトス様、今助けます!」
「アトス殿逃げに徹しなされ!」
流石に不味いな……。俺は必死になり小型から逃げる。追われている事により若干パニクっているのかロピ達のサポートまで手が回らない。その為チルが小型に攻撃しても決定打になる様な威力のある攻撃が出来ないでいる。
まさか、そこまで読んで俺を狙っている訳じゃないよな……?
「そこまでの知恵を持って戦闘しているとしたら、俺達勝てるのか?」
恐らく、ジャングルの方に逃げれば俺自身の体力が持つまで先読みしながら逃げられただろう。だがこの休憩所という限られた場所で尚且つ他の戦闘しているパーティ達に迷惑をかけないで逃げるとするのは無理があったらしい。俺は追い詰められ、小型の一撃を食らってしまう。
「ヴッ!?」
その一撃はとんでもない威力であった。俺自身に自分のスキルを自分に付与する事が出来ない為、小型の攻撃がそのまま俺の身体に打ち付けられた。俺は勢い良く飛ばされて背中から木にぶつかった。
ヤベェ……、痛みと衝撃で身体が動かねぇ!?
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