第12話 彼らの正体は……
どこからか声がしたと思ったら、人間族の男女4人が小型に攻撃を仕掛けて居た。
「シク、あれ人間族だよね?」
「あぁ、そうだな」
「なんでこんな所に?」
「恐らくこの近くで狩をしていたんだろ。そして小型を見つけたって所の様だな」
食べ物として、猪や鹿を狩るのは分かるけどモンスターとかを狩る意味ってあるのか?
「シク、動物とかじゃなくてモンスターを狩る意味ってあるの? 」
「一般人には無いが、恐らく冒険者なんだろう。冒険者の場合はどれだけモンスタを討伐するかでランクが上がり、報酬が変わるからな」
「なるほど」
この世界には冒険者という仕事もある様で、それはシクの講義で教えて貰っていた。
冒険者については俺が今までゲームやラノベなどで知り得た内容と相違無かった。
冒険者達は連携を活かして小型を翻弄しているようだ。
「オラオラ、小型程度速攻で倒してやるぜ!」
大柄の男が自身よりも大きい剣を片手で振り回している。
「ったく、お前は脳筋だね。パワーで押し切れる相手じゃないでしょう」
もう一人の細身の男は通常ではあり得ないスピードで常に小型の背後を取り剣で斬りつけている。
「ウチらの前衛は頼もしいわねー」
「……ただの馬鹿とも言う……」
後衛で弓を放っている女性二人が呟く。
「クソッ。コイツ物凄く固てぇーな」
「流石モンスターですね。ここまで固いと剣で斬りつけても致命傷を与えるのも一苦労です」
「頼もしいと思ったら、コレだよ。ウチの男らは情けないねー」
「同意……私らがサポートしないとアイツらすぐやられる……」
会話の内容は噛み合ってない感じがするが、連携は良く取れている様に見える。
だが、決定打が無く小型はまだまだ元気そうだ。
「おし! お前らコイツを少しの間抑えててくれ」
大柄の男は集中する為なのか軽く目を瞑っている。
すると、大柄の男の片腕が光り始めた。
……なんだあれ? 腕が光っているぞ?
「お前は急だね。だけど確かにココはお前の攻撃力に頼るしか無さそうだ」
「少し癪だがサポートは任せな」
「……後でご飯奢り……」
残りの三人は大柄の男に小型が攻撃しないように常に攻撃をして的を絞らせないようにしている。
なるほど。一人では無理でも連携であそこまでやり合えるようになるのか。
「おし! 待たせたな!」
大柄な男は準備が完了したのか、腕が先程よりも光っている様な気がする。
「いくぜッー!!」
そう言って、大柄の男は小型に向かって走る。
一直線に走っているけど、あれじゃ小型に防御されるんじゃないか?
その時、他の三人は大柄の男が決めやすい様に小型の注意を惹き、攻撃しやすい様にしている。
あんなに、チマチマ色々な方向から攻撃されたら、小型としても堪ったもんじゃないな。
「これで、終わりだぜッ!」
斬る! というよりかは叩きつける様な音がなり、小型の胴体に剣が食い込んだ。
「オラッ、まだ行くぜ!」
大剣を引き抜き、再び同じ箇所に剣を叩き付ける。
「やれやれ、流石に一人じゃ無理でしょう」
もう一人の素早い男も合流して、二人は交互に傷のある箇所を攻撃する。
そして、とうとう小型は力尽きた様にして地面に横たわった……
──ッすげーー! パーティを組むと小型相手でも、あそこまで簡単に倒せるのかよ?!
「やっぱり、俺最強!!」
「はいはい、お前は力だけ! は一般人と比べたら最強かもな」
「言っとくけど、私らのサポートがあったらから倒せたんだからね?!」
「……お腹減った……」
冒険者達は勝利の余韻に浸っているのか自分自身の成果を自慢し合っている。
「シク、冒険者達と接触する?」
「いや、ここはアイツらに任せて私達は逃げるぞ」
シクはアッサリとこの場を逃げる事を選択する。
「あぁ、わかった」
「よし、冒険者達は私達に気付いてないから、バレる心配はないとは思うが、静かに逃げるぞ」
そう言って、俺達は木を降りて小型や冒険者達の気配が完全に無くなるまでの距離を走って逃げた。
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