第379話 用語解説66

品質管理部なら知っていて当然な単語を解説



・仕入れ先変更


 材料の仕入れ先を変更しても、規格が同じなら問題ないと思われがちですが、ラインでは今の材料に特化したチューニングが実施されていたりします。

 材料の厚み一つとっても、厚め狙いや薄め狙いの違いがあって、加工設備がそのばらつきを吸収出来なかったなんてことは結構あります。

 例を挙げるなら、鉄の丸パイプでしょうか。

 外径と板厚の規格がありますが、外径を押さえて内側を加工しようとしたときに、外径を押さえる金型がパイプの太さのばらつきを吸収できません。細い外径に合わせれば太い外径のパイプを潰してしまうし、逆ならば押さえる事が出来ません。

 これが単純な切断機であれば、パイプを押さえる部分をウレタンなどの柔らかい素材にすればいいのですが、内側に金型を入れて塑性加工する場合は、かかる力が大きいので、ウレタンでは押さえきれずにパイプが動いてしまいます。

 また、内側に入れる金型の寸法も変えられないので、板厚がばらついたら加工後の寸法がその分変わってしまいます。

 じゃあどうしたらいいのってなると、JIS規格よりも厳しい公差で仕入れるか、自社でパイプを成形する工程を設定するかってなりますが、コストの関係でそこまでは中々出来ません。

 なので、ひも付きである程度安定した寸法の材料を調達して、それに合わせてチューニングするってことになります。

 材料で説明しましたが、加工部品についても同じです。

 プラス目狙いの部品メーカーもあれば、マイナス目狙いの部品メーカーもあって、転注したら組み付かなくなってしまい、製造が部品不良だと騒いで部品メーカーを呼んでみたら、どこにも寸法不良が無くて、自社の組み付け設備が元々の部品メーカーに合わせてチューニングされていたなんて事もありました。

 設備を設計する側の苦労もわかるので、あんまりキツイ事は言いませんが、どうにかして公差を吸収できる仕組みが出来ないものでしょうかね。

 二社購買なんかしていたら、どうにも対応出来なくなると思いますよ。

 それは半導体も一緒か。

 聞いた話では、ジェネリック医薬品なんかも同じ製法で作っていても、元の医薬品とは効き目が違うよって医者に言われました。

 ジェネリック自動車部品も同じ図面で作っても寸法違うのと一緒ですね。

 ジェネリックっていうのか疑問ですが。

 なので、規格や図面が一緒でも変化時の管理はキチンとやりましょう。



・検査で保証出来てない


 頭が痛い問題。

 いや、胃か。

 決められた通りの検査を実施していたにもかかわらず、不良が流出してしまったときに発覚する。

 じゃあ、今まで出荷した製品の品質はどうなんだと言われたら、正直保証出来ていませんと言うしかないよね。

 口が裂けても言えないけど。

 検査方法の見直しで、現場と喧嘩になるやつですね。

 まあ、やらないって言ってきたら、そのまま客に対策書で流出対策出来ませんって提出して、社内を引っ掻き回してやりますが。

 言った言わないの水掛け論を避けるために、社内の対策会議の議事録は残しておきます。



・原理原則


 知らなくても仕事は出来るけど、一歩踏み込んだことをするなら、知らなければならないこと。

 金型の設計も、原理原則を知らないと、過去の類似製品の金型を真似て大失敗なんてのもありましたね。

 具体例は避けますけど。

 形状だけ見て、公差の違いを見落としてることがおおいかな?

 自分は仕事よりもTRPGで散々この世界観にこの原理は適用できるかというのをゲームマスターやプレイヤーとして議論してきたので、何でもかんでも地球の物理法則と一緒で、異世界の人がそれを知らないっていう設定はちょっとねえ。

 まあ作品として面白ければいいんでしょうけど。

 SFにしても、広大な宇宙を舞台にしているのに、24時間365日の設定だったりしますが、それにツッコミをいれてもねえ。

 MMRの火星移住計画の話は好きです。

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