第349話 用語解説60
品質管理部なら知っていて当然な単語を解説
・図面に記載なし
基本的には製造業の契約は図面に基づいて行われます。
図面表記以外の部分は設計基準やら検査規格書・部品検査法なんかで補っております。
それでも、設計基準の番号などは図面に記載されているのが殆どですが。
そんな中で、敢えて図面に記載しないことなんてのが出てきます。
異物付着や傷などでしょうか。
外観部品でない場合は記載しないようにお願いをしております。
なにせ、異物の付着を防止するためのラインを設置するとなると、莫大な費用が掛かるのですが、埃がついていても問題にならない製品だってありますので、全部にそんな費用はかけられません。
ただ、じゃあ鳥の糞がついていてもいいのかというとそういう訳でもない。
常識の範囲での不文律ってやつがあります。
そんな不文律を破らなくてはならない事もたまには出てきますね。
異物や傷で想定外の不具合が出て、その対策費用が大きくなった時です。
全部をサプライヤーで呑むわけにはいかないとなると、上からの指示で図面に記載がないと屁理屈をこねて抵抗します。
心の中では自分達が悪いのはわかっておりますが、こちらも会社の損害を考えると引くに引けないので、双方の設計や調達を巻き込んだ絶望的な戦いが始まります。
対策の水平展開で他の部品も管理が厳しくなるので、あんまりやりたくはないですが、損失が億を越えるとなるとやるしかない。
折角痛み分けに持ち込んだのに、偉い人から「何でうちが負担する事になったんだ」って言われると、流石にガックリきますよね。
・縮管
パイプの径を途中から小さくする事。
様々な工法があります。
パンチ加工、転造、スウェージング、へら絞り、溶接、ロウ付け等。
基本的にはパスカルの原理を使うためですね。
どの工法がいいのかっていうのは、生産数や要求される寸法にもよります。
異径のパイプを溶接やロウ付けでつなげるのは、常に漏れとの戦いになりますので、塑性加工にしてもらえるとありがたいです。
まあ、段取り時の条件間違いで多数個不良になるのは塑性加工なんですけどね。
・パスカル
パスカルの原理を発見した人。
圧力の単位にその名を残す。
異世界の単位でもそれでいいのかっていうのはありますね。
他にも摂氏や華氏なども人名由来の単位です。
地球の科学の発展と同じような発展をするのは理解できますが、じゃあ単位に使われている人名ってどうなのというのはどう処理をしたらいいのでしょうかね。
偶然同じ名前の人が発見したっていうのがいいのかな。
・コンターマシン
どこの工場にもある工作機械。
帯鋸が回転しており、そこに切りたいものを当てて切断する。
樹脂も金属も切断できる。
ステンレスを切断すると、かなり刃こぼれするので、管理者に隠れてこっそり切断しています。
仕事だから駄目とは言われませんが、刃こぼれしたら新しい帯鋸に自分で変えなければならないので、それがかなり面倒です。
自分不器用なので、あの交換作業はやりたくない。
尚、帯鋸が途中で破断したりするので、アプセットバット溶接機が一緒についてます。
それで破断したところをつなぎなおすのですが、その時も作業が面倒なんですよね。
・メンテナンス性
消耗品の交換や段取り替えの時間に大きく関わってくるのが元々の設計。
ねじを一本外して交換できるのと、五本外して交換しなければならないのとでは、当然かかってくる時間が大きく変わります。
そうはいっても設計上困難な場合もあるので、どこかで妥協はしなければならないのも事実。
ただ、不必要にメンテナンス性を悪化させる設計もありますね。
設備製造時に溶接でとめちゃえとかもあって、全部が全部設計が悪いとも言えませんが。
溶接で固定された設備のメンテナンスでは、結局サンダーで溶接部を削り取っていました。
大変、大変。
本編にいただいたコメント見ると、他社でもやはりあって安心。
安心する理由もありませんが。
保守作業する人の溶接を剥がすスキルが上がりますが、それって本来必要なんですか?って思っちゃ駄目。
転職してもきっと使える筈だから。
整備士のSSTの話は機会があればそのうちどこかで。
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