第327話 就職戦線異常しかなし!
本日はグレイスとオッティがステラにやってきている。
いつものティーノの店での食事会だ。
「第35回転生者会議を始めます」
俺がワインを飲んでいると、グレイスが突然そんなことを言い出した。
「第35回?」
俺は怪訝そうにグレイスを見た。
「初めて聞いたぞ」
オッティがそう言う。
俺も初めて聞いた。
「こういうのはノリが大切よ」
グレイスはしれっと言い切った。
まあそうですね。
「で、今回は転生悪役令嬢の定番、銀行を導入しようよ。『ヤリたいからヤッちゃった。仏壇返しだ!』って奴ね」
鼻息の荒いグレイス。
「ちょっと違うんじゃないかな?」
仏壇返しって相撲の決り手だよね?
だよね?
違う方だとまた運営に怒られちゃう。
「銀行つくってどうするんだ?」
オッティの質問に、グレイスは待ってましたとばかりに答える。
「将来性はあるけど、お金がない若者に融資をして、領地を発展させるのよ」
「そうは言うけど、信用調査のノウハウもないのに、そんな事出来るわけないだろ」
オッティが鼻で笑った。
まあ、俺も同意見だな。
「銀行なんて作っても、上司のパワハラで社員が寄り付かないと思うが。ガラスの灰皿で殴られても大丈夫な人材を見つけないとな」
「オッティ、それは保険会社だよ」
俺は念のため訂正をしておいた。
※事実に基づいたフィクションです!
上司にガラスの灰皿で殴られて怪我をしても、保険適用になるのでみんなも入ろう生命保険。
「何よ、街金よりはマシでしょ」
それはちょっと文字ではお伝え出来ない内容になるからな。
上場していた大手ですらあれだったし。
証券会社も証券取引所も、よく上場させたよね。
まあ、証券会社なんてアレだから、似たようなもんだろうけど。
※事実かどうかはわかりませんが、フィクションです。
「確かに、街金だと債務者追い込んだのを武勇伝にしている所長とか大勢いたよな。社員が督促の電話かけたら債務者がそいつの親戚で、返済出来そうにもないってわかったら、親戚のお前が肩代わりしろとか、街金の社員が追い込まれた話は涙無しには聞けなかったぞ」
「オッティさん、その辺にしておいていただかないと……」
※事実ではありません、多分
「そうよね。駅前の地上げで――」
「言わせねーよ!」
グレイスがとても危険なことを口走りそうになったのを止めた。
本当に危ない。
「まあ、大手に入っても痴呆症の老人からお金を騙しとったりする組織だったりすると、大学で何を学んだかなんて関係ないわよね」
「金融系は大手も中小も割りときついよな。上司の不正を暴いて倍返しとか言ってられるのなんて、物語の中だけの話で、現実だと反社会的勢力に資金を流しているのを追求していたら消されたとかになるよな」
オッティさん、それは『公権力横領捜査官 中坊林太郎』の話ですよね?
実話じゃないですよね?
そんな話題になってしまったので、銀行をつくる話は流れた。
下を見ればキリがないが、意外とブラックじゃない(ホワイトとは言ってない)自動車業界は、就職するにはお勧めです。
折角頂点にのぼり詰めても、楽器ケースの中に入って外国に亡命することになるかもしれませんが。
※作者の独り言
会社説明会で、そんなことは言わないよね。
あの会社のOBがニュースになるの多すぎ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます