第322話 用語解説54
品質管理部なら知っていて当然な単語を解説
・急冷
金属を急速に冷やす工法。
反対は徐冷。
これにより硬さと粘り強さをコントロールする。
コントロールするはずだが、手動だとかなり難しい。
熱処理メーカーでは自動化がされており、人の手でやることはまずないですが、熱処理設備を持たない単なる金属加工業だと未だに職人の感覚で行っているところもあります。
硬くしたいのですが、硬いという事は裏を返せば粘りがないということで、とても簡単に折れることになります。
訓練で特殊鋼の丸棒をバーナーであぶって熱処理してみましたが、どうもうまくいきません。
表面の赤みで温度を判断しろって言われてもね。
ロウ付けでも急冷して製品にクラックが入る事があります。
全て自動化してほしい。
・工場長
字の通り工場のトップ。
冒険者ギルドで例えたらギルドマスター。
のはずだけど、組織によってはそうでもない。
ただ、大企業だと間違いなくギルドマスター。
工場のすぐ隣に専用の駐車場を持てる位に特権階級。
でも、上からのプレッシャーが凄くてストレスは多そう。
中小企業で威張り散らして、派遣社員の女性に手を出すくらいが一番いいポジション。
そのうち告発されそうですが。
そんな工場長は別として、大企業の工場長は勿論優秀な方ばかりなので、とても大きな不良を出したときに報告する相手が工場長だったりすると、お客の方でも緊張が走ります。
普段ならこの程度でいいじゃんってエビデンスも、さらなる深堀が要求されてきますね。
何だったら「説明がつくように資料を書き換……作り直ししてください」とか。
いいのか?
立場が逆なら気持ちもわかるので、可能な範囲で協力いたします。
不良を出したのは弊社だし。
尚、工場ではなく事業所っていう会社も多く、役職名が事業所長だったりするので困る。
もうプラントマスターでいいじゃん。
・ロウ付け治具
ロウ付けは熱をかけた製品が伸びた後元に戻ります。
ただ、そのためには治具の設計が重要になってきます。
■……治具の受け
〇……製品
●……製品の穴
▲……ロウ付け部
ロウ付け前
■〇〇〇■
■〇●〇■
■〇〇〇■
〇〇〇
〇▲▲▲〇〇
↓
ロウ付け後冷却前
〇〇〇
■〇●〇■
■〇〇〇■
■〇〇〇■
〇〇〇
〇▲▲▲〇〇
↓
ロウ付け後冷却後
■〇〇〇■
■〇●〇■
■〇〇〇■
〇〇〇
〇▲▲▲〇〇
製品が熱により上方向に伸びる時の状態はこうなりますが、
ロウ付け前
■■■■■
■〇〇〇■
■〇●〇■
■〇〇〇■
〇〇〇
〇▲▲▲〇〇
↓
ロウ付け後冷却前
■■■■■
■〇〇〇■
■〇●〇■
■〇〇〇■
〇〇〇
〇▲▲▲〇〇
↓
ロウ付け後冷却後
■■■■■
■ ■
■〇〇〇■
■〇●〇■
〇〇〇
〇▲▲▲〇〇
伸びる方向を規制するとこうなります。
戻る方向にも材料があるので、単純に同じ量とはいえませんが、こんなイメージですね。
そして●の個所を位置決めに使用していることが多いです。
それなら位置が変わらないと思うでしょうが、位置決めと製品のクリアランスから同じ位置に戻ることはありません。
溶接であれば歪が出てそれで位置が決まるので、ロウ付けと同じ感覚で治具を設計すると失敗します。
ほとんどの場合は治具に調整代があるので、その範囲でなんとかなるのですが、時々調整代を大きく逸脱した製品が出てくるので、治具の追加工や再作成が必要になってきます。
全部接着剤で出来ないかな……
・シートベルトで品質偽装
毎回毎回よくやるなと思います。
想像ですが、最初から品質が未達で、一度嘘を付いてしまったので、次期モデルが決まったときに、前回の品質が達成出来ているのに、なんで今回は未達なのって聞かれると、前回嘘を付いたのがばれるから、最後まで誤魔化すしかなかったんじゃないかなと思ってます。
よくあることですね。
風の噂ですが。
今回は内部告発ということですが、転注で発覚することもあります。
当然表に出ないまま、無事に生産終了したのも有るんじゃないですかね?
弊社ティア2なので噂でしか聞いたこと有りませんが、品質偽装がばれた際には設計に話を持っていくとか。
品管は規格を満足しているかどうかしか判断できないが、設計なら安全率考慮して、どれだけ規格から外れていても大丈夫かわかりますので。
今回も国交省が当面の使用に問題はないとか言ってますし、まあ、そういう事なんでしょう。
そんなこと言うから、規格が軽視されちゃうんじゃないのかな?
だから、法定規格を未達は駄目絶対くらいでいかないとね。
そうそう、以前お逢いしたとある品質問題起こしたメーカーの品管の人は謝り過ぎて、第一声が「ご迷惑をお掛けして、大変申し訳ございません」だったな。
自分の車もリコール対象でしたが、仕事では絡みもなく、迷惑かけられてなかったのに。
免震偽装の時みたいに、他社も誤魔化してましたってならないといいですね。
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