第315話 とんでもスキルで異世界工業メシ

品質管理レベル46

スキル

 作業標準書

 作業標準書(改)

 温度測定

 荷重測定

 硬度測定

 コンタミ測定

 三次元測定

 重量測定

 照度測定

 投影機測定

 ノギス測定

 pH測定

 輪郭測定

 クロスカット試験

 塩水噴霧試験

 振動試験

 引張試験

 電子顕微鏡

 マクロ試験

 温度管理

 照度管理

 レントゲン検査

 蛍光X線分析

 粗さ標準片作成

 ガバリ作成

 軌間ゲージ作成

 検査室作成

 C面ゲージ作成

 シックネスゲージ作成

 定盤作成

 姿ゲージ作成

 テーパーゲージ作成

 ネジゲージ作成

 ピンゲージ作成

 ブロックゲージ作成

 マグネットブロック作成

 溶接ゲージ作成

 リングゲージ作成

 ラディアスゲージ作成

 ゲージR&R

 断斜面補正

 ネットMonotaR● new!

 品質偽装

 リコール

 リンギング



 久々に新スキルが追加された。

 その名もネットMonotaR●。

 異世界転生でよく見かけるネットスーパーの工業版だな。

 食塩も販売しているから、塩の商人として異世界を旅することも出来る。

 因みに胡椒も販売している。

 故障ではなく、胡椒だ。

 ポトフはないが、味噌汁やポタージュもそろっている。

 サラダ油もあるのだが、外観が似ているので食用油ではなく、工業用の加工油や潤滑油を購入するととても危険。

 いや、こういうのって日本の食材を使ったら、異世界でとんでもない効果が出たりするので、ちょっとやってみたいけどね。

 さて、隣では腹を減らしたシルビアが待っているので、急いで料理をするとするか。


「早くしなさいよね。もうお腹が減って死にそうよ」


「お腹が減って死んだ人はいないから安心してください」


「それなら世の中に餓死なんて言葉は存在しないわよ」


 そんな冗談を言いながら、食事の準備を始めた。

 ああ、なんでこんなことになっているのかというと、ステラの近郊で商隊と護衛が魔王軍に襲われたというので、俺とシルビアが現場確認にやってきたのだ。

 護衛任務がどのようにして失敗したのかを記録し、対策を立てるのも重要な仕事だ。

 装備や技量で足りないものは無かったのかとか、襲われた状況から判断して、護衛についた冒険者が確認すべき場所はどこだったのかなど、前世の不具合対策にも似ている。

 そうした経験の積み重ねで、冒険者の質を高めて依頼者の満足度を向上させることがどこかで聞いた品質マネジメントシステムとなるのだ。

 そんなものは絶対に異世界に持ち込ませたくないが。

 16949?9001?


 そして、今は現場確認が終わったので、食事にしようという訳である。

 折角の新スキルを使わない手はないので、こうして前世の品物をネット通販?しているのである。

 異世界転生の定番ですね。

 機械油で料理するってのはここ以外にはないけど。

 いや、訂正しよう。

 ここでもないわ。

 離型剤を塗ればフライパンに焼き付かないかもしれないが、食べ物で遊ぶのは良くないよね。


 その辺にいたイノシシを捕まえてきたので、さばいて生姜焼きのたれで味付けをする。

 工場の味方は胃袋の味方でもあるな。

 こんなものまで揃えてくれているなんて。


「あたし、イノシシの肉はあまり好きではなかったけど、これなら美味しく頂けるわ」


 シルビアに絶賛されるが、某社の生姜焼きのたれで焼いただけなんですけどね。

 某社様様ですな。

 あれ、この文章に既視感が……


 俺も自分で作った生姜焼きを食していると、不意に気配を感じた。

 気配の方を振り向くと、シルビアも同時に気づいたようで同じ方向を向いた。


「大きな狼。いやあれはフェン――」


「狼だね」


 シルビアの言葉を遮って俺はそう言った。

 そうこんなところに神獣なんて現れない。

 パクりだめ絶対。

 だからあれは狼だ。


「【検査室作成】」


 俺はスキルで検査室を作り出し、シルビアと一緒にその中に入った。

 そして食事を続ける。

 検査室内では飲食は禁止だったのだが、それはあくまでも前世の話だ。

 今ここにある検査室は俺のプライベートルーム。

 これで狼に襲われる心配はない。

 ついでに、話しかけられる心配もない。

 万が一人語を話すことのできる狼だったりすると困るからだ。


「さっきの狼、なんか物欲しそうにこっちを見ていたわね」


 と、シルビアが外の様子を気に掛ける。


「多分お腹が空いていたんじゃないかな。飢えた野獣は危険だから、ここに避難するのもありだね」


「そういうのに食事を分けてあげれば、従属させたりできたんじゃないかしら?」


「動物を拾って帰ると、オーリスに怒られるからね」


 どうもシルビアは話を危険な方向にもっていきたいらしい。

 余計な事はしないでほしい。


「それにしてもアルトのスキルは便利よね。金属や鉱物を生み出せると思ったら、調味料もできるだなんて。行商人とその護衛がみんな失業するわよ。他にはどんなものが生み出せるの?」


「うーん、派生スキルがあるから、それを取得すれば前世の世界の殆どの物が手に入るかな」


 因みに、ネットMonotaR●の派生スキルはミス●、たのめー●などがある。

 今後そちらにスキルを伸ばしていくのもありだな。

 最近オッティのレベルの上がりも悪いので、くだらないものを作るプラントにスキルポイントを使わせるのも気が引ける。


「すごいわね。そのスキルで指定した物っていつ来るの?」


「いまでしょ!」


 そこは明日来るって言えばよかったのかな?




※作者の独り言

TRUSCOのマグネット台はモノタ■ウで買ってます。

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