第313話 用語解説52

品質管理部なら知っていて当然な単語を解説




・PDCAサイクル


 Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の頭文字を繋げたものである。

 工場の改善もだいたいこれ。

 偉い人の肝いりで導入された設備で、PDCAサイクルを実施した際に、Doの段階で設備が致命的に使いづらいのが発覚したのだが、Cの段階で酷評が握りつぶされたため、Aまで到達することはなかったという罪の深い改善ツール。

 そういったレアケースに遭遇しないまでも、PDまでで満足してしまい、CAについてはお茶を濁す程度だったり、そこまで到達しなかったりと、有効活用されているのを見ない。

 時々部長が「PDCAサイクルを使って改善だ」とか言い出すので、どこかの異世界に飛ばされて、そこの住民たちとやっていてくださいと心の中で呟いてます。



・熱血硬派


 熱血硬派くにおくんというファミコンのゲーム。

 作中で「ファミコンか」って突っ込んでいるけど、実際にはアーケードが最初で後にファミコンに移植されたみたいですね。

 僕はドッチボールが好きでした。



・メドッソ


 アストナージ・メドッソ。

 サラダ作って待っているという死亡フラグを立てる。

 おかげで野菜嫌いになりました。

 人参抜きで!



・トルクアナライザー


 トルクレンチやトルクドライバーが正常に動作しているかを測定する機械。

 ただ、そういった道具が不足している会社で、始業時に普通のドライバーをこれにセットして、手で絞めこんでいくのを見たことがあります。

 測定値の箇所を作業者から見えないようにして、上長が規定値で締め付けができているかを確認するという点検内容でした。

 規定値で締め付けできないと、その日は別の作業っていう仕組みだったのですが、全員が不合格になったらラインが停止していたよね。

 どう考えてもトルクドライバーを用意したほうがいいと思います。



・カッターマーク


 金属に残る刃物の痕。

 同じ形状を加工するのにも、工作機械の加工プログラムを作る人によって、刃物の動かし方が違うのでカッターマークも変わってくる。

 金属の応力だったり、工作機械の特徴によって最適な動かし方はあると思うけど、同じものに出会ったことがない。

 刃物の減速ひとつとっても、ノウハウがあるんだなって。

 転注や二社購買するとよくわかります。

 工作機械から製品を取り外したときは、仕上がりの違いなんて模様程度しかわからないが、組付け時にその差がわかるので、こればかりは経験をつまないとですね。



・止める・呼ぶ・待つ


 ライン作業の基本。

 異常があったら兎に角止める。

 そして上長を呼び、指示を待つ。

 大抵は止めずに流して、後で不良が発見される。

 なんでお前が「これくらい大丈夫」って判断してるんだよと言いたい。

 まあ、大したことないのに呼ぶなっていう班長とかがいるから、作業者も自分で判断するようになっちゃうってのもありますけど。

 呼ばなくてもいいことで呼んで、呼ぶべきところはスルーしちゃうのってなんの法則なんでしょうか?

 対策書を書く方の身にもなってほしい。



・NTC


 なんとがテクニカルセンター。

 日本かな?



・GISとMIS


 ○馬と○鷹なのかな?



・左右の温度差


 V37スカイラインのオーナーが日産の社長宛に内容証明郵便で質問状を送ったあれ。

 空調には室温センサーと輻射センサーがあり、ネットの情報ではスカイラインは運転手の左足付近に室温センサー、ダッシュボードに日射センサーがついているそうです。

 日射センサーは輻射熱を検知して、室温センサーと合わせることで、快適な室温にするためのセンサーです。

 この配置はコックピットモジュール見てないから、そうなんだろうなということで。

 だとすると、送風口付近の温度は拾ってないことになりますね。

 空調設計に詳しい人の話では、「そんなところの温度なんか測定してないよ。ただし、高級車は知らない」との事だったので、今回の問題は日産だけの問題ではないのだと思います。

 その人他社向けに詳しいので。

 そうなると、他社の車でも温度差は大なり小なりあるはずですね。

 温度を測定して、どこまでが良品の範囲なのかを各メーカーに聞きたいところ。

 尤も、カーエアコン作っているメーカーは寡占化しているので、車両メーカーよりも、そっちに訊いた方がいいのかな?

 ただし、肌感覚で10度の差というのは大きすぎであり、これはやはりコックピットモジュールの設計に問題があるのだと思います。

 想定してないところで熱交換しちゃってますよね。

 これを次の設計では織り込むようになるのかとは思いますが、他社がどのように追随するのかには興味があります。

 日産が先行してノウハウを積み上げれば、カーエアコンは日産ということになるのでしょうね。

 中身はマレリですけど。

 この件に関しては、日産も社長案件でしょうから、関係各社を含めて大変ですねと、他人事ながら胃が痛い思いです。

 市場クレームは全て重いのですが、特に社長や役員まで到達した奴は、中途半端な解析では納得してくれませんからね。

 日産がオーナーに用意した資料なんかも、中身よりも製作過程が気になります。

 「これじゃ、上に報告できない」って言われても、事実を報告しているのにどうしろとっていうのがあったのじゃないかな?

 弊社じゃなくて本当に良かった。

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