第251話 用語解説40 と、あとがき的な何か
品質管理部なら知っていて当然な単語を解説
・転造
回っている金型に材料を突っ込んで塑性変形させる加工方法。
条件が合わないと、材料から剥離した粉が出る。
剥離対策を諦めた会社があったのだが、Oリングにキラキラした粉が付いていたのを見たときは、これでいいの?って思いました。
他社の製品なのでスルーしましたけどね。
・落下品
製造業に3秒ルールはないので、落下させたら赤箱に。
バッテリーのリコール見たときは、「あるよね~」っていう感想でした。
大手のメーカーでもそのレベルかって安心しちゃ駄目なんだけど。
これについては、教育が難しいですね。
責任者が厳しい部門だと、作業者が怒られるのを嫌がって、黙って組み付けしてしまう。
製品の単価が高ければ高いほどその傾向にあります。
責任者が緩い部門だと、作業者がルールを守りません。
じゃあ落とすのを防ぐしかないよねってなるけど、落ちないリンゴじゃあるまいし、どうやっても落下事故は防げなかったりします。
もう、無重力空間で組み付けするしかない。
三次元測定機のセラミックで出来たマスターボールを落として割ったの隠してますけどね。
・ナイスボート
誠死ね。
・クリスタル・トライアングル
もはや40代もおいてけぼりのアニメ作品。
MMRが好きなら一度見ておくのもいいかもしれない。
VHSのテープがまだあります。
・あとがきのようなもの
これで一応の一区切りです。
どうせまた愚痴を言いたくなって、時間軸がいい加減な設定で話が出てくるとは思いますけど。
次はラスボスをオレンジブックのカタログで撲殺するラストシーンにしようかな?
嘘です。
最初は仕事の愚痴と、他の小説読んでいて、異世界に現代知識持っていって大成功ってのを「そんなわけねーだろ!」って思ったのを何処かに残しておこうかなっていうのではじめました。
美味しんぼ好きすぎだろって言われていますが、あれは料理で人を幸せにする作品なので、自分は品質で人を幸せにする作品を書こうかなって思っていたんですよね。
見事に失敗しましたが。
最後は綺麗に落ちましたかね?
同業者の人に「あるある」って言ってもらえたらいいかなって思っていたら、同業者じゃない方の目にも触れたので、最後に言い訳のようなものを。
作品の性質から、どうしてもよその部門の悪口になっていますが、よその部門だって大変なのはわかっています。
設計も生産技術も生産管理も製造も、新製品の会議でも、不良の対策会議でもみんな悩んでいます。
客先だってそれは同じで、組織が大きくなるほど責任は大きくなりますからね。
何人かの友人は車両メーカーの設計でしたが、どこの車両メーカーでも漏れなくうつ病になってました。
営業も生産技術もうつ病の人がいて、なにも品質管理だけが辛い訳じゃない。
それと、客先の人は優しいです。
客先の品質管理の担当者も弊社の納入不良で製造から突き上げ食らっているのに、怒るどころか一緒に対策しましょうとか言ってくれたり。
自社での似たような不具合の対策を教えてくれます。
それなのに、何度も期待を裏切ってすいません。
これもひとえに、極端な利益追求が生んだ疲弊なんじゃないかなと思います。
1000万円掛ければ不良の出ないラインが出来ますが、それを製品に転嫁出来ないので無理が生じます。
みんな不良なんて作りたくないけど、無理な要求で予算も時間もないのが現状ですね。
「足りぬ、足りぬは工夫が足りぬ」とか、戦中の標語が会社に貼ってあったりします。
その結果日本はアメリカの生産力に負けたんだろうが、って思いますが、サラリーマンなので黙ってます。
「俺達が会社を愛したように、会社も俺達を愛して欲しい」って言いたくなっちゃいますよね。
ランボーか!
そうそう、製造業の実情が世間には知られていないなって思ったのは、コメントでスターレットが水袋が空なのをわからないのはあり得ないっていうのをいただいた時ですかね。
製造業に来る前の自分と同じ意見でした。
誰でもそう思いますよね。
仕事をしていると、そんなことはざらにあります。
更には、水袋に牛乳いれちゃったり、腐って飲めない水を入れちゃうことも。
その対策で、飲める水を規定量持っていないと開かない、魔法のドアを設置するのですが、今度はドアを通らず、窓から外に出ちゃったりしてます。
外に出れば仕事が完了って勘違いした作業者との戦いの日々ですね。
班長と係長が泣いていました。
まあ、魔法のドアはお値段が高いので、あんまり買ってくれませんから、作品のようにチェックシートでお茶を濁してますけどね。
どうしろと?
それでも、流石に市場まで流出しちゃうことなんて無いので、そこだけは安心しています。
ありがとう、後工程。
そんな感じで、エンドユーザー様にはなんとかご迷惑をかけないように、日々悩みながらやっていますが、大手が軒並み品質偽装をやってくれると、なんかモチベーション下がっちゃいますよね。
「空飛ぶタイヤ」の続編がどんどん出てきちゃうとはね。
さて、愚痴はこれくらいにして、どうでもいい裏話を少し。
登場人物は仕事で関わった車ではありません。
アルト、スターレット、シルビアは競技で使用していた車両です。
特に、アルトは人生で初めて表彰台に昇ることが出来た思い出の車両。
レックスじゃなくて良かったな。
違う作品になっていたかもしれませんので。
具が大きい?
歴代のシルビアは間違いなく名車なので、日産がシルビア復活させたら間違いなく買う。
オーリスに思い入れなんて無かった。
ラパン出てきたらクラリスも欲しいよねってだけです。
愚痴少なめな作り直している~異世界の品質管理は遅れている~ではスターレットがメインヒロインです。
商用車なのに10000回転までエンジンが回るいい娘なんですよ。
最後に、同業者のみなさん、選別に呼びつけたら作者かもしれませんし、車両メーカーのとなりのラインで選別しているのが作者かもしれません。
デポとかメーカーのラインとかで、他社が選別しているの、よく見かけますよね。
私が選別に呼んだのが読者の可能性もあるので、お互いに不良を出したメーカーには優しくしましょうね。
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