第234話 Re:ゼロから始める不具合対策

毎回同じ不具合を出してくれて、再発になるから対策の見直しをしなきゃならないのは何故なのか。

作業者が一緒だったりすると、もうそいつが悪いとしかならないよね。

しちゃいけないんだけど。

タイトルが出落ち?

そうだよ、俺の愚痴だよ。

泣いてもいいですか?

それでは本編行ってみましょう。



 今日は外がとても暑いので、俺とシルビアとレオーネの三人はMMRの活動と称して、会議室に集まり俺の温度管理スキルをエアコン代わりにして涼んでいる。

 飲み終えたアイスコーシー(大阪出身の人にこう言えって脅されてます)のコップに残った氷が溶けて小さくなり、下にある氷から落ちてコップの底を叩きカランという音を出す。

 その音を書き消すような空谷の跫音が。


「ここにいると聞いてな。大変なんだ」


 勢いよく開けられたドアから見えたのはジュークであった。

 その後ろにはカレンとサイノスもいる。


「どうした、そんなに慌てて。冷気が逃げるからドアを閉めてから話してくれ」


 うん、測定室のドアを開けっ放しにする奴なんなん。

 三人を中にいれ、着席させてから話を聞く。

 最初に口を開いたのはカレンだ。


「試作していた薬が間違ってポーションに混入しちゃったのよ」


 あれ、これ前にもあったよな。

 低級ポーションの瓶に入れていたら流出しちゃった奴だ。

 糊と蜂蜜を同じ容器使っちゃだめだろ。

 食べられる糊と、糊として使える蜂蜜なら、リバーシブルの部品みたいで、どちらにも使えるからいいけど、そうじゃないよね?

 あれ、なんの話だ?

 今回はなんで流出したのだろうか。

 同じ瓶を使っちゃだめだと指導したはずだが。


「容器が無かったから、研究室で低級ポーションの空き瓶に入れて、サイノスに冒険者ギルドで入れ換えてってお願いしたんだけど、サイノスが入れ換えを忘れたのよね」


 カレンがため息をつく。

 それは俺の役目だぞ。

 何してくれんのや。

 再発やんけ。

 というわけで、俺もため息をつく。


「状況はわかった。それならはやく回収すればいいだろう。なんで俺のところにくるんだよ」


「買った奴の何人かは、商人の護衛で様々な街に向かっていて、回収するにはアルトのリコール使うしかないんだよ」


 ジュークがすがるような目でみてくる。

 そんな目でリコールを頼まれてもなあ。

 いや、怖い目でリコールを要求されるよりはましだけど。

 そんな経験ないから、想像だよ。

 転生する前にリコールなんて全く関わってないからね。


「なあ、カレン」


 俺は首をカレンに向ける。


「何?」


「試作していた薬は危険なのか」


「バフ効果を付与する薬なんだけど、副作用のデバフがどうなるかわからないわ」


 と、期待してない答えが帰ってきた。

 デバフあるのを知らずに使って、最悪の結果になるとまずいな。

 俺は諦めたように天を仰ぐ。


「はー、わかったよ。じゃあまずはリコールをする範囲を特定しよう。特定できないと今まで売った奴全部になるからな。わかっタカタ」


 俺の言葉に三人は頷き、サイノスが持ち込んでから販売までの時間を相談しはじめる。

 レオーネは10000N・mのような重い雰囲気に耐えられなくなったのか、アイスコーシーを淹れてくると言って部屋を出ていった。

 堪えられなくなったのではない。

 耐えられなくなったのだ。

 何に気を遣った発言してるんだか。


 範囲を特定出来たので、俺はリコールのスキルを発動する。


――【リコール】


 リコールが発動すると、リコール対象品をスキルが訊いてきた。

 前回と同じだな。


――何を回収しますか?


「冒険者ギルドが販売した低級ポーションを回収したい」


 そう回答すると目の前に三択が出てきた。

 ここも同じだ。


――リコールの種類を選んでください。

 ・リコール

 ・改善対策

 ・サービスキャンペーン


 なんて嫌な三択だ。

 できればサービスキャンペーンにしたい。

 それでゆるしてもらえませんかね?


 リコールを選択して、対象期間を設定して完了だ。

 これで済むリコールは楽でいいな。

 な?


 暫くすると、会議室のテーブルの上には回収された低級ポーションが並んだ。

 こいつらの廃棄はジュークにまかせて、俺はカレンとサイノスへのお説教だ。

 なんで同じ不具合を繰り返すんだよ。

 タイムリープして、不具合発生の前に阻止したい。

 ついでに、鬼族のメイドが欲しい。

 パチンコでも儲けたい。

 いや、パチンコで換金出来るわけがないじゃないですか。

 やだなー。


「カレン、サイノス。前回俺が試作品はポーションの瓶に入れるなって言ったよな。どうして同じことを繰り返すんだ。同じ不具合がでてしまったら、前回の対策が無意味だったってことになるだろ。またゼロからやり直しになるじゃないか。どうして言ったことが守れなかったのかってところから聞かせてもらうぞ。今日は終わるまで返さないからな」


 そんなわけで、対策として試作の薬を入れる瓶をつくることにしました。


 主人公の名前が何処かの会社と一緒ですが、何処のメーカーに対しての不具合再発かは詮索しないでください。


※作者の独り言

不具合の再発で、前回の対策が無意味になることってありますよね。

多数個と再発はやめて欲しい。

その両方とか裸足で逃げ出すレベル。

日本語間違ってるかも知れないけれど気にしない。

前回の対策の甘さを指摘されるのがプラスされる辛さを製造にも味わってほしい。

対策の報告の帰りに海を見ていた事もありました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る