第185話 医療ミスがありました
「水袋を持つ手は右手か左手かどちらか決めたほうがいいかって?」
俺はカイエンとナイトロの言い争いの仲裁を頼まれていた。
言い争いの原因は冒険中に水を飲む時の、水袋は右手で持つべきか、左手で持つべきかということである。
作業標準書を作る作業では、一度はぶつかることだな。
左手、若しくは利き手じゃないほう論のカイエンがいうには
「利き手が使えない状況は極力作るべきではない」
だそうだ。
それに対して、ナイトロは
「不意打ちをくらったときに、持っている水袋を投げつければ牽制になる」
というものだった。
いいね、実にいい。
こう云う作業分解と次の動作への繋がりを考えた場合の効率。
実際の作業者の意見を取り入れてつくる作業標準書。
だが、残念なことにここは異世界だ。
できれば前世でも、作業者がこれくらい真剣に、自分の作業について議論して欲しかった。
さて、双方の言い分の根源にはジョブの違いもあるか。
カイエンは格闘家なので、利き手は開けておいた方がいいだろう。
世界的スナイパーも似たような事を言っていたな。
それに対してナイトロは武器が弓矢である。
不意打ちを食らったときに、弓に矢をつがえる時間を稼がなくてはならない。
ふむ、そう考えると、それぞれの主張に筋が通っているな。
「話は分かった。君たちはそれぞれのジョブが違う。それなのに、無理やり同じやり方をする必要もないだろう。自分の一番やりやすい方法にすればいい」
一貫ラインで製品が流れてくる方向が決まっているのであれば、利き手がどうとか考えずに、流れに沿った持ち手にさせるが、冒険は工場じゃない。
いつも水袋を持つ手が決まっていれば、不意打ちを食らっても標準作業をすればいいだけだ。
不意打ちという緊急事態にも対応できるよう、次の動作に移りやすいように持ち手を選ぶ。
そう、結論付けて二人を説得した。
二人とも納得してくれたようで、これで右手左手論争は終わった。
かのように思えたが、今度は冒険中に睡眠をとる時に、右向きがいいか左向きがいいかの決着がついていないのだと言い出した。
しらんよ……
「横向きで寝ると、下にした方の歯と歯茎に負担がかかるから、上を向いて寝たほうがいいぞ。寝ているふりをする為に、表情を見られたくないから相手に背を向けるって以外ならそうしておけ」
そんなアドバイスをしておいた。
そこは、飛び起きやすい姿勢でってアドバイスした方が良かったのだろうけどな。
品質管理レベル41
スキル
作業標準書
作業標準書(改)
温度測定
荷重測定
硬度測定
コンタミ測定
三次元測定
重量測定
照度測定
投影機測定
ノギス測定
pH測定
輪郭測定
クロスカット試験 new!
塩水噴霧試験
振動試験
引張試験
電子顕微鏡
マクロ試験
温度管理
照度管理
レントゲン検査
蛍光X線分析
粗さ標準片作成
ガバリ作成
C面ゲージ作成
シックネスゲージ作成
定盤作成
姿ゲージ作成
テーパーゲージ作成
ネジゲージ作成
ピンゲージ作成
ブロックゲージ作成
マグネットブロック作成
溶接ゲージ作成
リングゲージ作成
ラディアスゲージ作成
ゲージR&R
品質偽装
リコール
※作者の独り言
妻の陣痛で夜間に緊急入院をしましたが、胎児の状況を確認する医療機器の使用で、助産師に手違いがありました。
リストバンドにある個人識別用のバーコードの読み取り忘れ。
話を聞くと、人によって作業方法が違うとのこと。
バーコードを読み込む手順が明確になっていないそうです。
命にかかわるミスではないですが、弊社の部品なんかよりも、余程人命にかかわる事なので、再発防止は必要だと思いますね。
ミスが出来ない職場だからこそやるべきかと。
「ミスは取り返しがつかないもの以外は大丈夫。相手が死んだり、体に傷が残る事以外なら落ち込みすぎるな」って、社会人になって最初の上司に慰められた言葉です。
そんなわけで、医療関係や重要保安部品はやりたくない。
あと、出産が近いので、更新ペースは落ちますよね。
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