第39話 用語解説6
品質管理部なら知っていて当然な単語を解説
・メッキ
金属やプラッチック(大阪の人がこう呼んでいました)に被膜をつける表面処理。
人類の歴史に置いて3500年以上の歴史を誇る。
電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキなどがある。
作品中に出てきたのは電気メッキ。
電気メッキは電気を流す都合上、電極が製品に接触する。
その部分にはメッキ液が付着しないので、メッキが出来ない。
設計的にそういう部分を作ってくれるのが常識だが、常識がない設計者が多いので、電話越しに罵倒の応酬になる。
塗装も同様に、引掛け穴が無いと後々問題になる。
メッキの細かい説明はネットにおまかせしますが、品質不良に繋がる話では、製品をメッキ治具に引っ掛ける姿勢がある。
メッキ液残りでの外観不良や侵食などがあり、槽から製品を引き上げた時に液が抜ける姿勢を考えなければならない。
また、槽内で製品が暴れることで、電極が製品から離れてしまうと、そこに薄い被膜が発生し、絶縁されてしまうため、メッキの化学反応が止まってしまい、膜厚不良が発生する。
させたやつを責任取らせてやりました。
また、メッキ液を河川に流出させてしまい、市役所、消防、警察、保健所に反省文を提出した時は泣きたかったです。
・ストライク処理
塗装でいうプライマー。
くっつきにくい金属同士をメッキする際に、別の金属を下地としてメッキする。
経験的にニッケルメッキ、銅メッキなどを下地処理で使うことが多かった。
図面に指示がある場合は、見落とさないように注意が必要。
銅下ニッケルメッキなのに、ダブルニッケルメッキをしたのがバレた時は泣きたかったです。
・先入れ先出し
普通に考えればわかるけど、ついつい面倒でやらない作業。
未だに棚やパレットの上に平積みしていく会社が多い。
下に古いのがあるのが判っているけど、面倒なので上から取っていく。
そう云う人は、賞味期限切れの食品で食あたりすればいいのに。
賞味期限とは別に、ロット管理を行う上で、非常に重要なのだが、不良が出たら全部捨てるという荒業で乗り切ることができる。
監査時に指摘をされたら、そこだけは改善するけど、水平展開がされない奴。
・検査規格
検査規格と言ったり、検査仕様と言ったりする厄介者。
「弊社の呼び方は『検査仕様』です」と怒られたりするので、顧客が変なプライドをもっていると最悪。
PPAPで要求されるが、同時に検査規格に基づいた検査報告書も必要で、検査規格だけは先に合意するのが筋じゃないでしょうか。
PPAPはピコ太郎のヒット曲ではなく、「Production Part Approval Process」の略で部品を生産することを承認する仕組みです。
量産開始前に、PPAPが要求する資料を提出するのですが、何故か承認されていないのに量産が開始されてしまう不思議な仕組み。
書類だけ揃っていればいいというものじゃないんですよ。
・原点、軸、座標
三次元測定機での測定時に設定する項目。
実際には面もある。
算数で学んだ事を例にすると、方眼紙を机に置くのが面設定。
これによりXY面が作成され、Z軸の0が決定する。
次に方眼紙の任意の場所に鉛筆で点を描く。
これが原点設定。
最後に、方眼紙に描かれた罫線の向きを決めるのが軸設定。
これにより、XYのプラス方向、マイナス方向が決定する。
2点間の距離は一緒でも、XYZの軸の設定方法で、それぞれの座標間の距離が変わる。
良品を測定しても、軸の設定方法が悪ければ不良品と判断されるし、逆もまたあるので難しい。
原点は図面を見れば判るのだが、軸の設定については顧客と打ち合わせしないと、後々ひどい目に遭う。
というか、ここまで書いていて、それって設計の仕事じゃね?って思ったけど、設計は責任を放棄していたので、品質管理の仕事です。
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