さよなら明日
おきた狂
第1話
実は余命というものが自分で決められるようになりました。
大抵の人は余命を先延ばしに手続きして永遠に生きる方が多いです。しかも年齢を自分の好きな年のままにできるのでなかなか素晴らしい世の中なりました。また、カウセリングというものが発達して世の中に絶望する人ややることがなくなる人が死ぬということがなくなりつつあり、その上死亡手続きが理由が明確でないと受け付けてもらえないということにもなってきてしまいました。もし、受け付けてもらってもカウセリングを紹介されるというどうしても死なせないというシステムになってきて、今や死ぬ人イコール頭おかしい人になってしまいました。
僕は今その頭おかしい人になりました。世の中に絶望したわけでも、やることがなくなったわけでもありません。死にたいから死ぬのです。だからいくら面倒な手続きも全然平気でした。最初みんなびっくりしてましたが何回も何回も言うとみんな感覚が麻痺して了承してくれました。理由は適当に言っておきました。嘘泣きしながら。みんな辛かったろうとか言って慰めてくれました。頷きながら違うけどなーと思いましたが、隠しときましたよ。
友達と遊ぶ約束を明日してたので死ぬのは友達と別れてからにしようと思います。
その友達はとても素敵な人です。この友達の優しさというのが慈愛に満ちた本当に相手に寄り添ったものなので一緒に居て心地よいです。そんな心の美しい人ですからお似合いのパートナーを見つけたようです。近々結婚するとも聞いています。友達として凄く嬉しく思います。
友達との集合時間は明日朝の7時。友達の最寄り駅が集合場所。その為に今日は早めに寝ます。おやすみなさい。
10分前に到着すると友達もちょうど到着してわいわい騒ぎながらカラオケに行きました。好きな歌を歌いまくり、疲れたら動画を見ながら休憩してを繰り返しお昼まで騒ぎました。そこから駅内のレストランで恋愛話で盛り上がり、ごちそうさました後はショッピングモールをブラブラしました。そろそろ帰る時間になって友達は、明日も遊びたいと言い始めました。僕は月曜日じゃんと笑いました。友達は大真面目にじゃ夜会おうと言ってるので明日は用事があるから難しいと言って断るとじゃ、明後日は?と言われました。仕方ないのでこの先は会えないよと正直に答えました。すると、どうして?と返ってきたので秘密と言って微笑みました。友達は難しい顔した後、自分も連れてって欲しいと言ったので僕はびっくりしました。どこかわかってるの?と問うと、なんとなくわかると返ってきました。僕はもう1回びっくりしました。それでは尚更不思議で仕方ありません。パートナーはどうするのでしょう。問うと友達は君が優先だと言うのです。ああ、神はなんと罪深いのでしょうか。僕は友とその配偶者が為に命を捨てようとしたのに友は僕を選んだ。なんということか。友達に手続きは?と聞くと今日死ぬことにしているという。そうか、君は最初からそういうつもりだったのか。それからは今これを読んでる貴方の想像通りでしょう。今日という日を永遠にしたいがために明日を捨てた2人をどうかお許しください。
それではさよなら。
さよなら明日 おきた狂 @Soms-05
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