第6話



「何それマジウケるんだけど」

「マジウケるんだけどじゃないんだけど」



ジェディディアくんはもっと親身になってくれてもいいと思うんだよね。主に私に。


一昨日、たまたま告白現場を目撃してしまい、なんとそれが婚約者様で、しかもその婚約者様においでと呼ばれてあわや修羅場を経験してしまったということを話したらこの反応である。

もう少し大変だったね、とか労ったり、災難だったねとか言ってくれてもいいのではないだろうか。いや、そんなことジェディディアに期待しても無駄か。



「それで?居づらいからって昼誘ってきたわけだ?」


「うぐっ」


ストレートな物言いに詰まる。Exactly!!ジェディディアの言う通りである。すごい。エスパーかな?いや分かる人にはわかるわな。

修羅場をやらかしてしまったせいで女の子たちと一緒に居づらいのだ。常識的に考えてかどうかはわからないけど、もしこういうことをされたらサンドラ様を擁護する。つまりそういうことである。

あの場でイチャついたのはよくなかった。告白玉砕したサンドラ様の前でそんなトドメを刺す様なことをしてしまったことは反省はしているが後悔はしていない。ごめんなさいサンドラ様、私基本的に欲望に忠実な女なので…。

ごほんごほん。ジェディディアがはあと、これ見よがしにため息をつき、あげくあきれた目でこちらをみるがあれはどうしようもなかった。そういうことにしよう。



「反省しましたのよ、だから次回に活かせる様ご期待なさってくださいまし」

「トラブルメーカーはおとなしくすることはできねえもんな…」

「私がトラブルメーカーみたいに仰らないでくださる?」

「事実を言ってるだけ。ってかその話し方気持ち悪い」

「泣いた」

「おう泣け泣け」



うえ〜んと騒ぎながら泣いているふりをするか、もしくしくとさめざめ泣くふりをするかどっもやめた。これ以上注目されるのはよろしくない。

私とジェディディアが二人で話しているとこんな感じである。


ブライアンは実家の方に呼び出されて帰省している。なんでもウィリアム伯に呼び出されたとかなんだとか。詳しくは帰ってから話すねと言われて嫌な予感しかしていない。厄介ごとを持ち帰ってきません様にと願うばかりだ。


驚いたのは、ブライアンが実家に呼び出されたのだから、当然ジェディディアも一緒についていくのかと思ってぼっちを覚悟していたらブライアンはジェディディアの兄を引き連れて帰って行ってしまったのだとか。

やーい置いてきぼりされてやんの!と笑ってやったらこれは婚約解消も近いなと言われたので、今度ジェディディアのお兄さんたちにチクってやろうと忘れないようにノートにメモしておいたのだった。




「ジュディジア〜」

「誰だよ」



「ジュディディア!」

「何?」


「なんでもない!」

「面倒くせえ〜早くブライアン帰ってきて来ねえかな」



どうでもよさそうに受け流すが相手をしてくれているあたりジェディディアの優しさを感じるのであった。


それにしてもやけに騒がしいなあ。何かあったんだろうか?まあ今この学園で何が起ころうと不思議じゃないけど。



「10歳くらいのときに戻りたいねえ、ジェディディア」

「…そうだな、グレイシー」


学園に来る前は3人でいたって、2人でいたって1人でいたってなんも言われなかったのに。ああ人って本当に難儀な生き物だ。

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