サニーデイ・スリーパー

 ある晴れた日の昼下がり。

 いつものようにあたしは、ひなむー先生の胸を授業中に揉み逃げして教室を飛び出た。

 両手に残る先生のパイオツのぬくもりをほほで感じながら、そのまま全速力で隣のクラスに駆け込む。


「えっ? あの……上原さん、どうかしたの?」


 隣の授業は英語のようで、見た目はおしとやかなお姉さん系なのに、下着はTバックを穿いているお下劣極まりない担任教諭──通称・皆川みながわ先生が(このあいだ廊下で見かけた時、太陽光でミディ丈のプリーツスカートがうっすらと透けて見えたから間違いなし!)チョークをか細い指先で握ったまま、きょとんとした表情であたしを見つめている。

 無理もない。

 天使のような美少女が突然教室に舞い降りたのだから、至極当然の反応だと思う。


「……えっと、なにかの用事かしら? 大日向先生は? いまは数学の授業中でしょ?」


 やたらと質問をしてくる皆川先生。さっきからずっと、あたしのことを見つめ続けてる。

 もしかしたら皆川先生は、握っているチョークであたしの大切なところをチョメチョメしちゃってる妄想の真っ最中なのかもしれない。

 その証拠に、チョークの先っぽが小刻みに震え始めてきた。とんだスケベ教師がこの学校にはいるようだ。


たたりじゃ! 山神さまの祟りじゃあああぁぁあああああぁぁぁッ!」

「ええっ?! ちょ……上原さん!?」


 軽度のストレスを感じてしまったあたしは、村人から嫌われている謎の老婆を熱演してしまった。

 教室が生徒たちの悲鳴と爆笑の渦に包まれる最中、あたしの首にひなむー先生の左腕がすべり込んで気管を締めつける。

 さらに、あたしの後頭部をガッチリと押え込んだ右手の上腕を掴んだところで、ひなむー先生の必殺技〝魔性のスリーパーホールド〟が完成した!


「すみません皆川先生、毎度お騒がせしちゃって……オホホホホ!」


 笑顔で話しかけているけど、ひなむー先生の両腕は力を増すばかりだった。ついでに、殺気も。


「うぶるッ……むきゅうう…………ガクン!」


 背中から伝わる汗ばんだ美乳の熱気と、ひなむー先生が愛用しているみずみずしい薔薇の爽やかさを想わせるフレグランスの香りに抱かれながら、あたしは盛大にあぶくを吹いて気を失う。


 廊下の窓から射し込む陽の光りが暖かい。


 きょうは、最高の失神日和だ──



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