第4話 対峙
2体、いや、1人と1体による大一番は少年に軍配が上がった。この戦いは、「黒天の破窮」の始まりから考えると約3日ほど経過している。つまり、3日間不眠不休で戦い続けたということになる。にも関わらず、その少年の目から闘志が消えることはなかった。
「グルッ?グルァ、グルルァァ!!!」
「どうやら完全に野生に還った子供のようだな。しかもまだまだ元気が有り余っている。よし、殺り合おうか?」
そう言いつつもその少年の前に現れたのはレヴェーナである。口角が上がりつつも獲物を見つけたような目をしている。
「ミランダ!できるだけ離れてろ!!最悪この森が消し飛ぶかもしれん!!!」
「それはできれば避けていただきたいのですが………。」
「あいつにそんな気遣いができるようには見えないがな。」
目の前にいる少年は闘争心を剥き出しにし、今にも襲いかかろうとしている。
「どうやら本能的に私が強者だと悟ったようだ。………来るぞ、退いておけ!」
「グルルァァ!!!」
少年はそうやって吠えるとともに黒雷を迸らせながら襲いかかってきた。その姿は正に獣である。人の範疇で収まる人間にとっては視認すらできない速さである。事実、ミランダは全く目で追えていなかった。
しかし、相対するのは人の枠組みから外れたランクSの冒険者。彼女の右手には白い炎が燃え上がり、その手で正拳突きをすることで難なく迎撃をする。今まで完全に対応できる者と戦うことが少なかったためか、はたまた反撃されるとは思わなかったか、正拳突きを避けられずにその身に受けた。
「大したダメージにはならないだろうと思ったが、まさか無傷とはなぁ。」
その一言とともに彼女の周囲一帯が白い炎で包まれる。それに呼応するかのように少年の周囲にも黒い雷がよりいっそう迸り始めた。ここから、圧倒的な強者どうしの他の追随を許さぬほどの圧倒的な戦いが始まる。
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