第11話 信用と内乱
お父様が突撃してきてすぐに陛下もすぐに入ってきた。
「ジークフリート、アリシアナ嬢はどうかね?」
陛下が尋ねると、ジーク様が心の中で私に話しかけてきた。
(シア、僕が話そうか?)
(えっ…ジーク様が話せるってことは全部筒抜け…?)
(大丈夫…病のこと以外僕には、よく分からない言葉だったから。これから流行るという病についてはさっきそこの侍女と話してた時にシアが考えてた内容が伝わってきたから、酷くなる地域とか薬の材料とか症状とかぐらいまでなら分かるよ?…)
『普通"言葉が違っててわからない"とかはありえないはずなんだけど…』とジークフリートはアリシアナに伝わらないようにそっと思った。
アリシアナはよく分からない言葉と聞き、『たぶん日本語のことだ』と結論づけた。星の記憶と書いてたあの本がなぜか日本語だった事が理由だ。
(ジーク様ありがとうございます、でも、大丈夫です。)
私は少し長めに息を吸う、吐き出してから覚悟を決めて話す。
「皆様、先程は大変失礼致しました。手紙を書いた時のとこは覚えてないですが流行り病についての詳細なら今の私にも分かります。」
私がそう言うと、周りが少しほっとしたのが伝わってきた。
「自分でジーク様方を呼んでおきながら覚えてなくて申し訳ありません。これは私が夢で見たものの1部なのですが―」
私は流行り病の時期と酷くなる地域、病名、特効薬の材料とその作り方(ゲームでのレシピなのでかなり大雑把)を伝えた。
すると、白髪の初老の男性が信じられないという様子で聞いてくる。
「アリシアナ嬢、君が見たという夢は必ず起こる未来なのかね?」
「はい。この話はまだ誰にもしてませんでしたが、私はこの1ヶ月、様々な過去や未来を夢で見てきました。その中に、今回の流行り病の時期の夢も多くありました。対応が間に合い、重症化しなかった夢はありましたが流行らなかった時は1度もありませんでした。信じられないのも分かりますし、私の言葉ひとつで国ひとつ動かすのは無理かも知れませんがいつもより早めにトトリ草とヒール草を冬に備えて蓄えるだけでもだいぶ被害は収まるはずです。それに……いえ……とにかくお願い致します。」
私はそう言って締めると頭を下げた。
「しかし…。」
まだ、納得していない様子の白髪の初老の男性。
その時に、ジークフリートの助け舟が出る。
「シア、君が見たという夢でまだ誰にもわからないことで、流行り病と違ってすぐに証明できそうなことはある?」
ジークフリートは昨日の時点で、手紙がやけに具体的な内容だったこともあり、昨日手紙を受け取った直後に動かせる部下に流行り病の特効薬の準備を進めさせていた。
その為今朝、このままいくと最低限酷くなる地域分は確保出来そうだと報告を受けていた。
だが、僕だけでやるより皆を説得して国で動いた方が遥かに早い。
だから自分の父にも話し、材料の確保や配布を国で動いてもらおうと考えていた。
「えっと…ごめんなさい…今は聖星暦1710年の夏の2の月の29日目であってるでしょうか…。」
「「大丈夫(だよ)、合ってる(よ)」」
ジークフリート王子殿下とお父様(仮)の声が重なった。
そしてまた睨み合うと、今度は、2人が何かを目だけで話し合っている。
(グラスフィリア公爵、この後時間は空いてるか?)
(愚問ですな…娘のためならいくらでも暇をつくる。)
みたいな感じだ。
ちょっと正直嫌な予感しかしない。
「えっと…すぐ…では無いかもしれませんが…今からちょうど1ヶ月後くらいでしょうか秋の1の月の初め頃に、隣のさらに隣の国のベスティアで内乱がおきます。」
私がそう言うと、大臣と国王様、あとお父様も『ガタッ』と立ち上がった。
「陛下…流行り病の件もですが、こっちの内乱の件も本当なら一大事ですな…あくまで本当なら…ですが。」
そういい私を睨む白髪の初老の男性。
「シア、こっちの件も、もっと詳しく聞かせてくれる?」
そして、全く驚いてなかったジークフリートがアリシアナにきく。
「は、はい。」
内乱の予言は、ゲームの方の知識と謎空間での知識の合わせ技だ。
ゲームでの攻略対象者の内の1人がこの内乱で恋人を失うっていう過去を持っていた。
本当はその子も助けたいけど、今からその国まで行くだけで内乱が終わるくらいは余裕で時間がかかる。
(助けられなくてごめんなさい。どうか被害が最小限に行く方のルートに行きますように…。)
ちなみに、
だか、そんなこと当然知る由もないアリシアナは、内乱の詳しい内容を話そうとした。
話そうと口を開こうとして、声が出ずに、周りがぐるぐると回りだして、その後すぐにアリシアナは倒れてしまったのだった。
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