第8話 お友達は伝染病を超える!?

「真理亜ちゃん・・・・・・私たちお友達でしょ?」

「う!? それは・・・・・・!?」

 超能力少女の真理亜のお友達の○○少女のソリアが真理亜に握手を求める。

「そうよ! 私たちはお友達よ! お友達は差し出されたお友達の手を握らなければいけない!」

 覚悟を決めた超能力少女はソリアの手をガッチリと掴まむ。

「ギャアー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 超能力少女は高熱を出して倒れ込んでしまった。

「感染したな。」

「濃厚接触するからよ。」

 その様子を見ていた魔法少女アリアや鈍感少女コリアは呆れる。

「やっぱり・・・・・・私・・・・・・コロナウイルス少女なんだわ!?」

 ソリアの正体はコロナウイルス少女だった。コロナウイルスの症状は高熱が酷く体がフラフラする。重症になると死に至る謎のウイルスであった。

「こらー!? 私で実験するなー!」

 起き上がり講義する超能力少女。

「ごめんなさい・・・・・・もしかしたら黒死病少女やサーズ少女とか、インフルエンザ少女かなって思ったので・・・・・・アハッ!」

「うんな訳あるか!? あなたは世界を病気に感染させる感染少女よ! いえ、もっと恐ろしいパンデミック少女よ!」

「やったー! レベルアップ! アハッ!」

「喜ぶな!?」

 世間で流行しているコロナウイルス感染少女なのがソリアだった。

「あなたたちもソリアちゃんとお友達でしょ! 握手しなさいよ! ほれほれ!」

「ああー!? お友達を売る気か!?」

「私だけが不治の病に感染するなんて不公平だわ! お友達なんだからみんなで仲良く感染しましょう! 私とソリアちゃんはお友達。ということは私とお友達のアリアちゃんもコリアちゃんもお友達のお友達なんだから! アハッ!」

 超能力少女は謎の病気でおバカな症状が悪化している。自分が病気に感染したら、自分のお友達も病気に感染すべし。それが超能力少女のお友達理論である。

「いいわよ。ソリアちゃん、握手しましょう。」

 魔法少女が病原体少女と握手する覚悟を決めた。

「はい、握手。」

「ありがとう・・・・・・嬉しい。」

 魔法少女とコロナウイルス少女が握手した。

「やったー! これでアリアちゃんも感染ね! それでこそお友達だわ! アハッ!」

 お友達が出来たと大喜びの超能力少女。

「あれ? アリアちゃん、何ともないの?」

 しかし魔法少女に変化はない。

「魔法で全身にマジック・バリアを張ってある。私にウイルスは近づけない。」

「卑怯者!? それでもお友達か!?」

「お友達に病気を移そうとしている真理亜ちゃんの方がお友達かよ?」

「アハッ!」

 魔法少女はウイルスに感染しなかった。超能力少女が笑って誤魔化すのはお約束の展開。

「真理亜ちゃんも超能力少女なんだから、サイキック・バリアを使えばウイルスに感染しなかったのに。」

「タイキック・バリア?」

「サイキック・バリア! 真理亜ちゃん! 少しズレてるよ!」

「アハッ!」

「しまった!? その手があったか!?」

 後悔先に立たずである。

「気持ちを切り替えて、次はコリアちゃんの番よ!」

「ええー!? 私はアリアちゃんみたいにバリアは張れない!? どうしよう!?」

「今度こそ! 道連れだ! 一緒に感染お友達の世界へ行こう! マッマッマ!」

「真理亜ちゃん、おまえは悪魔か?」

「アハッ!」

 超能力少女は鈍感少女とウイルス少女の手を取り握らせる。この時の超能力少女は既に感染者なので、もうウイルスは怖くない。

「やった・・・・・・これでコリアちゃんも・・・・・・お友達だ。アハッ!」

 感染者なお友達が増えて喜ぶウイルス少女。

「ギャア! ソリアちゃんに触れてしまった!? これで私もウイルス感染だ!? 高熱だ!? 吐き気だ!? めまいが!?」

 その前に感染している超能力少女に触れられているので、本当は既に感染している鈍感少女。

「あれ? 何ともない?」

 しかし鈍感少女は普段通りだった。

「どうして!? なぜなの!? おかしい!?」

「きっとコリアちゃんは鈍感だから、ウイルスに感染したことに気づかないんだよ。」

「なんですと!?」

 鈍感がウイルスに勝った瞬間である。

「そ、そんな!? 私たち3人いて、ウイルスに感染したのが私だけなんて!? おまえたち! それでもお友達か!?」

「おまえが言うな!」

「アハッ!」

 超能力少女は苦しい立場に追い込まれる。

「大丈夫だよ・・・・・・真理亜ちゃん。」

「ソリアちゃん。」

「どんな時でも・・・・・・真理亜ちゃんは一人ぼっちじゃないよ・・・・・・だって私がいるから・・・・・・私は真理亜ちゃんのお友達だよ・・・・・・バタッ。」

 遂に力が尽きて倒れ込むウイルス少女。

「ソリアちゃん!?」

「まずい!? 気を失っているぞ!?」

「スゴイ熱だ!? このままじゃ、ソリアちゃんが死んじゃう!?」

 超能力少女たちは決心する。

「私たちでソリアちゃんを救おう!」

「おお!」

 超能力少女たちは気を集中させる。

「お友達は夢と希望だ! お友達の可能性は無限大だ!」

「お友達はお友達を絶対に見捨てない!」

「みんなはお友達のために! お友達はみんなのために!」

「お友達パワー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 3人のお友達パワーが一つに合わさり、3つが合成された大きなお友達パワーが完成する。

「悪いウイルスはお友達の中から消えてなくなれー!!!!!!!!!!!!!」

 ○○少女の無限大なお友達パワーがソリアの体の中からウイルスを消滅させていく。

「み、みんな?」

 ソリアが目を覚ました。

「大丈夫? ソリアちゃん。」

 目の前には超能力少女たちがいた。

「あれ? 私死んだんじゃ?」

「大丈夫よ。ウイルスは消滅したわ。」

「本当?」

「本当よ。だって私たちはお友達でしょ。アハッ!」

「ありがとう。いつまでも私たちはお友達だよ。アハッ!」

 お友達の力がお友達をウイルスの魔の手から守った。これからソリアも健康になっていくだろう。

「今度は皆で世界一周のクルーズ船に乗りたいな。」

「いいわね。今度は船内感染よ。アハッ!」

「真理亜ちゃん、悪い冗談だよ。」

「アハッ!」

「ワッハッハー!」

 ウイルスとの戦いを終えて、超能力少女たちに和やかな時間が訪れる。

「ゴホゴホ。」

 その時、ソリアが咳き込んだ。

「え!?」

 ギョッとする超能力少女たち。

「私、妹の楓にエサを与える時間だから帰るわ。」

「私も艦隊に続いて、魔法の擬人化に挑戦してるから急いでお家に帰らなくっちゃ。ごめんなさいね。」

 超能力少女と魔法少女は急いで立ち去ろうとする。

「こらー!? おまえたち! それでもお友達か!? お友達だって言ったじゃないか!? 」

 ソリアの咳きで逃げ出した超能力少女と魔法少女。

「もうウイルスは懲り懲り!」

 後ろを振り返らずに逃げ去る2人。

「なんで、みんな帰るの?」

 鈍感少女は鈍いので何も気にしなかった。

「コリアちゃん、捕まえた。一緒に遊ぼう。アハッ!」

「いいよ。だって私たちお友達だもんね。アハッ!」

 ウイルス少女にもお友達ができた。

「ゴホゴホ! おかしいな風邪かな?」

 潜伏期間14日後に鈍感少女が高熱に苦しんだことは言うまでもない。

 つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る