第765話 朝から温泉三昧

 ☆奈々美視点☆


 翌朝──。


 7時前に目が覚め、洗面所で洗顔や歯磨きを済ませる。 今日は比較的ゆっくりとした朝ね。

 というのも、本日行く予定の温泉テーマパークが10時からだからだ。


「うにゃよぉ」

「はいおはよ」

「んあー」


 今日も紗希はぼけぼけだ。 血圧でも低いのかしらね? 顔を洗うとシャキッとするみたいだから特に問題は無いのだろうけど。


「シャキーンッ! おはよ」

「さっきも挨拶したわよ」

「そだっけ?」


 寝ぼけている間の会話や行動は結構飛び飛びになっているらしい。 2人で部屋に戻ると、先に起きていた亜美、奈央と合流。 他の皆はまだ眠っている。


「化粧しとこー」

「そうね」

「私は軽くしただけだねぇ」

「あんたは素でも可愛いしね」

「皆だってそうだと思うよ」


 ちなみにお子様な奈央でも化粧はしっかりしている。 しかも結構な高級ブランドの化粧品を惜しげもなく使い倒しているわ。 そういうとこはしっかり大人の女よねぇ。


「朝食までまだ時間あるでしょ? ちょっと散歩にでも行こうかしら」

「お、良いねぇ。 私も行くよ」

「私もー」

「ふむ。 では4人で行きますか」


 現在起きている4人だけで朝の有馬温泉を散歩することに。 



 ◆◇◆◇◆◇



「どこ行く?」

「滝の方行く?」

「ありねー」

「マイナスイオンで癒されるのも良いですわねー」

「うんうん」


 というわけで、散歩の目的地は昨日も見に行った鼓ヶ滝に決定。 ゆっくりと朝の澄んだ空気を吸いながら歩き始める。


「こんな時間でも観光客はいるものねぇ」

「私達と同じで朝散歩組かな?

「でしょうね」

「同類ねー」


 中には泊まっている旅館で見かけた顔もいる。  皆考える事は同じのようね。 同じ方向に向かっている人もいるしね。


「今日は六甲山よね」

「ですわよー お昼過ぎから夜にかけてのんびりと」

「避暑地としても有名よねー。 楽しみー」

「その前に温泉テーマパークよ! 堪能してやるんだから」

「あはは。 奈々ちゃんは本当にお風呂好きだね」


 入浴時間は1日で一番好きな時間ね。 1日の疲れを癒やして、翌日の事を考える。 皆との温泉ともなれば格別よね。


「ふふ、温泉テーマパークで遊び放題ですわよー!」

「おー」


 朝の鼓ヶ滝へ行き少しの間滝を見ながら癒された後、旅館へ戻るのだった。



 ◆◇◆◇◆◇



 旅館に戻ってくると、遥以外の女子グループは全員起床していた。 ちなみに遥は紗希に胸を揉まれる事でびっくりして起床していた。


「きゃははは! 遥、さては揉まれてるわね?」

「揉まれてねーよ?!」


 遥は彼氏さんとはどんな付き合いをしてるのかしら?

 奥手な遥と天然そうな彼氏さんの事だから、筋トレの話ばかりして恋人らしい事なんてほとんどしてないんでしょうね。


「ったくよー。 起こし方もうちょっと何とかならんのかよ」

「ならんわよー」

「朝から騒がしいですわね……」

「ほんまにそうですね……」

「あははー。 元気なのは良い事だー」


 本当、皆といると飽きないわね。 そういえば男どもはちゃんと起きてるのかしら? 春人はなんとなく大丈夫だと思うけど、宏太と夕也よね。 春人が叩き起こしてくれていると良いんだけど。

 よし、電話してみましょ。


「あれ、奈々ちゃん電話?」

「えぇ。 男子がちゃんと起きてるか気になって」

「はぅ」


 宏太に電話をかけてみるも、出る気配はない。

 これはまだ爆睡しているわね。 春人はもしかしたら部屋にいないのかもしれない。


「麻美、紗希、起こしに行くわよ!」

「りょ!」

「任せろー!」


 私達の中でも騒がしい2人を連れて男子の部屋へと向かう。

 無用心にも部屋の鍵が開いていたので、あっさり侵入。 部屋の中にはやはり春人の姿は無く、バカ2人は爆睡していた。

 春人はここまで読んで鍵を開けっ放しで散歩にでも出かけたのかしらね。


「好きにやりなさい2人とも」

「おー!」

「きゃはは!」


 私がゴーサインを出すと2人が部屋に突入して、眠る宏太と夕也にやりたい放題して叩き起こす。

 紗希は真っ先に夕也に馬乗りになり襲おうとしだし、麻美は宏太に四の字固めを極めている。


「ぐおーっ?!」

「な、何してんだ紗希ちゃんっ?!」

「起きたわね。 もうそろそろ朝食よ」

「お、おう……って紗希ちゃん?! もう起きたから!」

「えぇ……朝食の前に今井君を食べるのもアリかなって思ったんだけどぉ」

「紗希、もういいから部屋戻るわよ。 麻美もね」

「りょ!」

「らじゃー!」


 とりあえず用件は済ませたので男子部屋から女子部屋に戻る事に。 この目覚まし時計はちょっと危険ね。 明日は別の目覚ましを使いましょう。


「どうだった?」


 部屋に戻ると亜美が隣の部屋の様子を聞いてくる。

 2人は爆睡だった事を伝えると、苦笑いしながら「そかそか」と頷いた。


「そろそろ朝食ですわね」


 時間は7時半。 部屋に朝食が運ばれて来た。  白米に味噌汁、焼き魚や山菜等の和風料理ね。

 

 特別豪勢というわけではないけど、実に美味しい料理の数々に唸りながら、朝食のひと時をを過ごす。


「この山菜の味噌汁美味しいわねー」

「だねぇ」


 紗希と亜美は食べながらレシピを分析なんかしている。 再現でもするつもりかしら?



 ◆◇◆◇◆◇



 朝食も食べ、適当に部屋で時間を潰した私達は、いよいよ温泉テーマパークへと向かう。


「楽しみね!」

「奈々ちゃんテンション高いね」

「温泉テーマパークと聞いちゃね」

「ふふ。 もう開いてるはずだから男子に集合かけて出発しましょう」

「おー!」

「堪能したるー」

「筋トレ出来ないかね」


 約1名変な事を言ってるけど気にせず行くわよ。


 隣の部屋に行き男子と一緒に温泉テーマパークへ向かい出発。

 旅館からは歩いてすぐなのもグッドね。


「到着!」

「やってるわね。 じゃあ行きますか」


 どうやらここはホテルの一部のようで、宿泊なんかも出来るみたい。 まあペット連れは無理なんでしょうけど。


 中へ入るとまずは靴をロッカーへしまい、フロントへ向かう。 フロントで入館料を支払い、温泉テーマパークについての説明を受ける。

 貴重品は全てロッカーに入れて手ぶらで行動するようだ。 買い物や食事は渡されたリストバンドのバーコードで出来、出る時に料金を支払うシステムらしいわ。

 更に館内では専用の着衣を渡される。 これを着て動き回る事になるらしいわ。


「てなわけで準備完了!」

「じゃあここからは自由行動ね。 12時前にここに集まってお昼を食べましょう」

「了解!」

「では、解散!」


 さあ、朝から温泉三昧! 楽しむわよー!


「奈々ちゃん、一緒に行こ」

「おっけ」

「私もぅ」


 というわけで亜美、希望の3人で回る事に。


「まずは金の湯に浸かりましょ」


 何せ宿泊中の宿は銀泉だものね。 両方浸からないと勿体無いっての。


「混合泉なんてのもあるみたいだよ」

「梯子するわよ!」

「奈々美ちゃんキャラ変わってるよぅ」


 朝からテンションマックスな私に何とかついてこようとするも中々難しいようだ。

 さてさて、思う存分楽しんでやるわ。 覚悟なさい温泉テーマパーク!

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