第691話 対決!東日本インカレ

 ☆亜美視点☆


 6月中旬も過ぎたところです。

 梅雨入りしてどうにもジメジメし出してきた今日この頃。

 今月はついに、関東大学バレーボールの大会である、東日本インターカレッジが開催される。

 開催地は東京。 参加校は、連盟に所属している関東の大学です。

 私の友人達の通う大学は、全て参加可能ということになっています。

 つまり! 私達月ノ木学園卒業生組のバレーボール直接対決が始まるのである。


「始まるのである!」

「はぅ、どうしたの亜美ちゃん?!」


 興奮してしまい、つい心の声を口に出して叫んでしまったよ。


「あはは、ごめんごめん。 いよいよ東日本インカレが始まるなぁと思って」

「あー、そうだね」

「希望ちゃんの大学はどこのブロック?」

「Aブロックだよぅ」

「おお、白山と違うブロックだねぇ。 お互い頑張ろうね」

「うん」

「奈々ちゃんはDグループ、遥ちゃんはCグループって言ってた。 見事に予選は別れたね」

「そぅだね。 皆決勝トーナメントまで来ないと対戦できないよ」

「私達なら大丈夫だよ!」


 私達白山は練習試合無敗記録更新中、希望ちゃんの青葉丘も同じく無敗中らしい。

 七星は希望ちゃんのいる大学に敗れはしたもののそれ以外には勝ち越しているし、羽山体育大学バレー部は元から強豪である。

 さてさてどうなりますことやら。


「ホテルは奈央ちゃんが手配してくれたホテルなんだけど、希望ちゃん達は?」

「体育館の近くのホテルだって」

「じゃあ別々だねぇ」


 別チームだし仕方がないのかな。 ちょっと残念である。

 他の皆もホテルは別。 ただ、近い場所なので夕食は皆集まって食べる約束を交わした。

 ライバル同士と言ってもやっぱり仲良しの友人だもんね。


「希望ちゃん出発は前日?」

「うん。 現地集合だよぅ」

「おお、じゃあ東京までは一緒に行こうねぇ」

「うん!」


 東京へは3日後へ向かうよ。



 ◆◇◆◇◆◇



「じゃあ行ってくるよ夕ちゃん。 家の事は春くんにお願いしてあるからねぇ」

「あいよぉ」


 夕ちゃんが一人になるので、夕ちゃんの事は春くんに全てお任せしてある。 夕ちゃんもやる気があるとはいえ、まだまだ家の事をお任せできるレベルじゃないからね。


 家を出て駅に向かう途中で奈々ちゃんと合流。 一緒に東京へ向かうよ。

 更に駅前で奈央ちゃんと合流。 遥ちゃんは先んじて大学の送迎バスで東京へ向かってしまったとの事なので今日はいない。

 うーん、さすが強豪だけあるねぇ。


「揃ったわね。 行きますか」

「うん」

「明日からは皆ライバルですわよー」

「負けないよぅ」


 皆気合十分。 予選グループは皆別々だから、皆と対戦できるのは決勝トーナメントだけ。

 しかも、決勝トーナメントも半々で逆ブロックに配置されるので、実際には対戦できない人がいるのである。

 順調に勝ち進めれば、希望ちゃんのいる青葉丘教育大学とは対戦が確実に可能であるが、奈々ちゃんと遥ちゃんは逆ブロックでぶつかるので、潰し合いが発生する。 しかも決勝までは対戦できないのである。

 うーん、皆と対戦したいものだ。


 電車に乗り、もはや行き慣れてしまった東京駅を目指す。

 東京駅に着いたらお昼は一緒に食べて、それぞれ宿泊予定のホテルへと別れるよ。

 次に会うのは夕飯の時間だね。


 電車内では和気藹々。 明日から優勝をかけて戦うライバル同士には到底見えない私達である。

 皆、私達ライバルを倒すために色々とレベルアップしているという話で盛り上がる。

 一筋縄ではいかなさそうだよ。


 東京に到着した私達は、一緒にお昼ご飯を食べた後で別々のホテルへ移動する。

 私は奈央ちゃんと同じチームなので同じホテルへ移動する。

 ホテルに着いたらキャプテンに連絡して、到着したことを報告すればOKだよ。


「もしもし、清水と西條です。 今ホテルに到着しました」

「了解ー」


 これだけで大丈夫である。

 部屋の鍵を貰いとりあえず部屋へ向かう。

 お部屋は普通のホテルの部屋だねぇ。


「よし。 とりあえずミーティングの時間まで自由だし、ゆっくりしよ」


 ベッドに寝転んで本を読む。 この時間がなんとも至福の時である。

 本を書く側になりはしたものの、読むのやっぱり好きなのである。 それに、人の書いた本っていうのは参考になったりもするものである。


 次々と本を読破していく。 そのうち私の部屋は図書館にでもなるんじゃないかというぐらい最近はいろんな本を買っては読んでいるよ。

 麻美ちゃんの本も全部読破済みである。


「うむ。 明日試合終わったら本屋さん行って新しい本を買っておこう」


 持ってきた本は全部読んでしまったよ。


「むむ。 気付けばもう夕方だねぇ。 よっと、夕飯の時間だしロビーに行ってみようかな。 奈央ちゃんが待ってるかも」


 夕飯は皆で集まって食べるという約束だ。 ロビーで奈央ちゃんと合流してホテルを出て、皆との待ち合わせ場所へと向かう。


「奈々美はもう待ち合わせ場所にいるみたい」

「早いねぇ」

「ホテルから近いんですって」

「なるほどねぇ」


 私達の泊まるホテルから待ち合わせ場所までは10分ほど歩く。 明日はもうちょっと早めに出た方が良いかもね。


 待ち合わせ場所に着くと、遥ちゃんと希望ちゃんも待っていた。 どうやら私達がお待たせしてしまったようである。


「お待たせだよ」

「10分も待ったわよ」

「あんたが早すぎるのよ」

「あはは」

「揃ったし行こうぜ」


 ということで5人で近くのレストランへ向かう。 いつものメンバーに紗希ちゃんがいないというのが少し寂しくはあるけど、紗希ちゃんも京都で頑張ってるんだもんね。 仕方がないや。


「ここにしましょ」

「そだねぇ」


 適当なレストランに入って席に案内してもらう。


「ん-。 私はオムライスセットとデザートにパフェにしよ」

「亜美はどこに来てもオムライスとパフェ食べるわね」

「好きだしねぇ」

「私もそれにしよぅ」


 他の皆も注文を終えて雑談タイムに入る。


「皆、ミーティングってもうやった?」

「まだよ」

「うちもまだだな」

「私のとこはもうやったよぅ」


 と、各大学でそれぞれ違うようです。 奈々ちゃんの大学で行われたミーティングでは、今大会での戦力分析や次に当たる相手の情報なんかを共有したらしい。


「んで、七星大監督権コーチの話だと、今大会で一番強敵になりそうなのが羽山と白山。 それと南北海道の大学も強いそうよ」

「はぅ、うちは? 七星にも練習試合で勝ったよぅ?」

「監督の予想だと、青葉丘は白山に負けるって感じみたいね」

「ふんすっ! 予想なんて覆すもん」

「良く言ったぜ希望ちゃん!」

「と言っても、私達もそうそう負けるつもりありませんけど」

「当然だね」


 他のチームから見ても私達月ノ木のメンバーが入った大学が少し抜けた評価という事みたいだ。

 他に気になるのは南北海道の大学だね。 一体どんな選手がいるのかはわからないけど、逆ブロックだし対戦できるかはわからないね。


「とりあえずは、皆で決勝トーナメントに残りましょ。 話はそれからだわ」

「そうだね」


 こうして、東日本インカレが始まるのでした。



 

 

 

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