第692話 決勝トーナメントに残れ!

 ☆遥視点☆


 パァン!


「ドシャットー!」

「ナイス蒼井さん!」


 こちらCコートの第一試合、私達羽山体育大学と、雪乃原体育大学の試合だ。

 どちらも強豪同士の試合という事もあり、現在試合の無い学校の偵察がわらわらと見に来ている。

 うちらよりAコートとかBコートとかDコートの試合を見た方が良いと思うけどな。


「蒼井さん頼む!」

「ほいっ!」


 パァンッ!


「ナイス!」


 月ノ木では化け物みたいなOHがゴロゴロいたから、私がスパイクに跳ぶ事はあまり無かったが、このチームでは私も攻撃の要になっている。

 MBミドルブロッカーではあるんだが、攻撃に参加する回数も結構多くて中々楽しいものだ。


「雪乃原さんをここまで抑え込めるとは正直思ってなかったね。 これが月ノ木レジェンドの力ってやつ?」

「いやいや、私は中でも凡人な方っす」


 本当にやばいMBは、私の1個下にいる。

 ありゃ亜美ちゃんや奈央と同じ世界の生き物だ。

 人間じゃどうやっても勝てない。


「でも期待してるよ!」

「はい、頑張ります」


 凡人には凡人の意地ってもんがある。

 何とか負かしてやりたいものだ。



 ◆◇◆◇◆◇



 ☆奈々美視点☆


 こっちはDコートよ。 現在第一試合の1セット目が終了している。

 1セット目は私達七星大学バレーボール部が25ー12で取ったわよ。

 今のところ、私のスパイクの決定率も6割はあるはず。


「藍沢さんやっぱり凄いわ」

「いえいえ。 もっと凄いのが東京に2人とAコートに1人……あと、京都に1人いますよ」

「本当にとんでもない世代ね……世代が違えば藍沢さんだって全国トップなのに」

「幼馴染が人間辞めてるので……」


 あの子と対戦する為には予選なんかじゃ負けてられないわよ。

 何が何でも決勝まで行かないといけない。


「さて、2セット目も取って勝ち点3もらうわよ」

「おう!」



 ◆◇◆◇◆◇



 ☆希望視点☆


 夜──


 私達元月ノ木メンバーは、今日も一緒に夕食タイムです。


「全員、決勝トーナメント進出おめでとう!」

「うぇーい!」


 というわけで、私達は皆予選を無敗で一位通過しました。

 皆、危なげなく勝ってきたみたいです。

 これで、私と亜美ちゃんはトーナメント左ブロックの両端に入ったので、勝ち進めば準決勝で対戦する事になります。

 まずはそこまで勝ち上がるよぅ。

 奈々美ちゃんと遥ちゃんも反対側のブロックの準決勝です。 東日本インカレはここからが本番です!

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