第682話 楽しく勝負

 ☆奈々美視点☆


 今日は亜美達のカップルとWデート中よ。

 アミューズメントパークのスポーツ遊び三昧コースよ。

 最初はビリヤードでチーム戦。 亜美夕也ペアと私宏太ペアで対戦中よ。

 ビリヤードに関しては私も亜美もちょくちょくと遊んでいるけど、そんなに上手いというわけではない。

 まあ人並みレベルってところね。

 現在、亜美が撞き終えて夕也の手番が回ってきている。 亜美が2番3番を沈めたから次は4番よ。


「夕ちゃん頑張れー」

「つってもなぁ」

「これ相当難しいわよね」

「だなぁ」


 手球の位置から4番ボールをポケットしようと思うと、上手く縦バンクを使ったバンクショットで狙わないといけない。

 結構な技術力が要求されるショットだわ。


「どうだ?」


 夕也の撞いた手球はクッションして4番ボールに当たるも、角度悪くポケットはかなわず。 私達に手番が回ってくる。

 宏太の出番だわ。


「ま、夕也が良い感じに止めてくれたから4番は簡単に落とせるなぁ」

「やかましい」

「んで次の5番はそこか……これでどうだっと」


 コンッ!


 手球を強く撞きまずは4番をポケットに沈めていく。 更に、4番ボールに強くぶつかった手球はほとんどその場から進むことなく停止する。 位置的には5番を落としやすい良い位置だわ。


「んん-。 これ上手くすれば9番落とせそう?」

「だねぇ。 5番に当てた手球がそのまま9番ボールに上手い角度で擦ったら9番落とせちゃうねぇ」

「難しいが5番落とせれば手番継続だから狙う価値はある」

「ふふ、じゃあ狙ってみますか」


 という事で、5番にぶつけてクッションした手球で9番の横っ面を擦りサイドポケットを狙うわ。


「……」


 集中して……撞く。


 コンッ


 まずは5番。 これは問題なくポケットイン。 問題は9番。

 5番ボールに当たり微妙に角度が変わって転がる手球が、9番ボールの横っ面を薄く擦っていく。


「おお」


 コトン!


「っしゃーい」

「ナイスゥ!」

「やるなぁ」


 上手い具合に転がってくれた9番は、しっかりとサイドポケットに入ってくれた。


「てわけで、私達の勝ちねー」

「むむぅ。 負けたよぉ」

「まあ、これは奈々美と宏太が上手かったわな」

「ふん、見たか」


 てなわけでビリヤード1回目は私と宏太のペアが勝利。 その後もペアをシャッフルしてビリヤードを堪能。 やっぱりなんだかんだ言って夕也と宏太は上手かったわよ。



 ◆◇◆◇◆◇



 ビリヤードを終えた私達は、ジュースを飲みながら休憩。

 次は何をして遊ぶかを相談することにした。


「卓球、ボウリング、ミニバスケ……他にもいろいろあるねぇ」

「ここも西條のグループが経営してるんだよな?」

「そだよ。 凄いよね」


 普通の店と比べて異様にお金がかかってそうな所は、辿ってみれば大体西條グループに行き着く。

 一体どんな経営方針なのかしらね。


「ボウリングだと亜美の独壇場だし、その他が良いわね。 テニスとかどう?」

「テニスも私出来ちゃうよ?」


 ああ、そういえば高校時代にテニス部の助っ人で試合に出て格上の選手に勝ってたわねこの子。

 うーん。


「まあいいんじゃないか? テニスで」

「あんた達は出来るわけ?」

「出来ん」

「同じく」

「ダメじゃん」


 という事でテニスも却下となった。

 

「うーん。 じゃあバッティングコーナー行ってホームラン競争しようよ」

「おお、それいいな」

「んじゃそうするか」

「ふふふ。 腕が鳴るわね」


 バッティングには自信ありなのよね。 私のバッティングセンス見せつけてやるわ。


 というわけで、バッティングコーナヘやって来た私達はお金を払ってピッチングマシーンの前へやって来る。

 じゃんけんで順番を決めた結果、最初は宏太。 その次に亜美、その後夕也で私が最後となった。

 まあ真打は最後にってね。


「よーし!」


 宏太が気合を入れてバッターボックスに入る。 でも宏太は野球あんまり上手くないのよね。


 ブンッ!


 スカッ!


「ぷぷぷ、宏ちゃんスイングだけだねぇ。 当たんなきゃホームランにならないよぉ」


 と、亜美にまでバカにされる宏太。


「うるせー、見てろよー」


 ブンッ!


 スカッ!


「あははは、下手くそー」


 その後も大振りのスイングを繰り返すもホームランは2本で終了。

 バットコントロールが絶望的に悪いわね宏太。 当たれば飛ぶんだけど。


「ダメだねぇ宏ちゃんは」

「何をぉ? じゃあ亜美ちゃんが俺に負けたら罰ゲームな?」

「いいよぉ。 私が負けたらほっぺにチューしてあげるよ」


 とか、亜美はまた意味の分かんない罰ゲームを作ってるわよ。

 偉そうに宏太の事馬鹿にしていたけど、亜美のバッティングも人のこと言えるレベルじゃないのよね。


「えぃっ」


 キンッ


 ヒョロヒョロ……


 バットコントロールは良いんだけど、パワーがあまりにも無さすぎる。

 当たってもボールが全然飛ばずに内野フライを連発する。


 キンッ


 ヒョロヒョロ……


「がはは! 人の事を馬鹿にした割になんだそのへなちょこな打球は」

「むぅ!」


 ブンッ!


 カキーンッ!!


「おお」


 亜美が力任せに振ったバットの芯にジャストミート。 良い角度で上がったボールはホームランゾーンに飛んでいった。

 亜美にしては飛ばしたわね。


「どうだー! 1本打てたよ!」

「ふん。 俺に勝つには後2本だぞ」

「余裕だよ!」


 キンッ


 ヒョロヒョロ……


 やっぱりまぐれだったみたいね。 その後は鳴かず飛ばずで結局1本で終える亜美。


「ぐぬぬ……」

「がははは! 大口叩いた割には情けない結果だな亜美ちゃんよ」

「勝てもしない勝負挑むからそうなるんだぞ」

「むぅ……宏ちゃん、屈んで!」

「ほいほい」

「んっ!」


 罰ゲームのほっぺにチュウしてるわよあの子。 バカねぇ、自分の非力さを知ってるくせにホームラン競争で勝負するなんて。


「夕也、私と勝負する? 私に勝てたらほっぺにチュウしてあげるわよ?」

「別いいが、どうせ勝てないしな」

「ふふふ」


 という事で夕也と勝負することになった。 まあ負ける気は無いけど。

 

「夕ちゃん、私に勝てたらチュウしてあげるよぉ」

「あいよぉ」


 亜美も夕也に勝負を持ちかけて夕也も承諾。 上手くすれば夕也は私と亜美両方からチュウしてもらえるわけね。


「ふんっ!」


 ブンッ


 カキンッ


 おお、良い当たりしたけどちょっと届かず。 でも結構打てるじゃない。 あんまり得意じゃないって話だけど。


 カキーンッ!


「おお、入ったよ!」

「やるじゃねぇか」

「そうね」


 カキーンッ!


「おお! これも入った! 夕ちゃん凄いじゃん」

「まあな」


 これで亜美からチュウは確定でもらえるわけね。

 その後3本打ち、夕也は5本で終えた。 私は6本以上打てばいいわけね。


「夕ちゃん。 んちゅ……」

「んんっ?!」


 うわ、人がいる場所ですんごいキスし始めたわよあの子。 恥ずかしい子ね……。

 ま、そんな2人は置いといて最後は私の番ってわけよ。


「ふんっ!」


 カキーンッ!


「おー、たーまやー」

「凄い打球だねぇ……」

「メジャーに挑戦したらどうだ?」

「できるわけないでしょっ!」


 カキーンッ!


 私はどんどん快音を残しホームランを量産していく。 結局は10本中7本をホームランにして優勝。

 今日は私調子良いみたいねぇ。


「ふふふ、優勝したし何か褒美が欲しいわねぇ」

「何が良いの?」

「怖いな」

「何言われるやら」

「ふむ。 逆ハーレムにでもなりたいから、今日1日夕也と宏太は私の物になりなさい。

「なんだよそれ……」

「敗者に拒否権無し!」

「あ、あはは……夕ちゃん頑張れ」


 楽しくなってきたわね! まだまだWデートは続くわよ。

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