第675話 代表選抜
☆亜美視点☆
合宿開始からもう5日が過ぎた。 今日はいよいよ代表選手を選抜する日となっています。
私達もこの5日間で相当アピールできたと思うけど、あとは監督コーチ陣の目にどう映っているかである。
今日も基礎練習から紅白戦などしっかり練習。
夕方に切り上げて早めにお風呂と夕食を済ませた。
そしてミーティングの為に集合し、代表メンバー選抜の発表を待つ。
「ドキドキするねぇ」
「うん」
「アピールは出来たと思うけど、どうかしらね」
「なんだかんだ言ってさ、世界選手権でユース代表だった組はいけるんじゃない? 問題なのは私達よー。 月ノ木でも3番手だった私とか渚よー」
「うっ……やっぱそうですよねー」
と、紗希ちゃんと渚ちゃんは少し自信がなさそうにしている。
2人の実力なら可能性は十分にあると思う。 代表24名の中に皆残れると良いけど……。
「よーし集まったな。 とりあえず5日間ご苦労。 とはいえ、ここで代表に選ばれたものはこの後も練習や他国との親善試合仲が定期的にある為忙しくなるんだが」
学業や小説家の仕事に差し支えなければいいのだけれど。 部活の方には説明すればいいだろう。
「さて、では発表していくぞ。 まずは攻撃の要
ドキドキだよ。
「田中」
「はい!」
おお、元日本代表のエース、田中さんがまず呼ばれたよ。 さすがだねぇ。
更にVリーガーの梶谷さんと浜名さんが選ばれた。
やっぱりベテラン組は凄い。
「藍沢奈々美」
「っ! はいっ!」
おお、奈々ちゃんが呼ばれたよ。 凄い凄い!
「神崎」
「は、はい!」
更には紗希ちゃんも選ばれた。 これで月ノ木のOH2人が選ばれたよ。 残る枠は5枠。
「清水」
「あ、はい!」
私も代表入り決定だ。 良い感じだよルーキーチーム。
「月島弥生、渚」
「はい!」
「へ? は、はい!」
月島姉妹も2人揃って呼ばれたよ。 これは凄い事だよ。
「黛梨乃」
「はい」
「宮下」
「はい!」
「以上10名」
黛さんと宮下さんも最後に食い込んできたことで、ルーキーチームのOHは全員代表入りしたよ。
やったやった!
「次は
次はMBだねぇ。
ここでもまず元日本代表だった2名、徳井さんと白石さんが呼ばれた。 さすが元代表は強いねぇ。
更にはVリーグで活躍する木下さんと早見さんが選ばれて残り2枠だ。
「藍沢麻美」
「はいっ!!」
おおお、麻美ちゃんが呼ばれたよ。 元気な返事だ。
麻美ちゃんの天性のブロックはきっと世界にも通用するだろう。 世界選手権の時も麻美ちゃんのアドバイスに救われたことがあったっけ。
「最後に蒼井」
「おっす!」
遥ちゃんも選ばれた。 月ノ木メンバーは今のところ全員選ばれており、残るは希望ちゃんと奈央ちゃんだ。
で、次は
「S5名いくぞ。 飯村」
ここでもまずは元代表の飯村さんが選ばれる。
続いてVリーガー藤井さんが呼ばれた。
「西條」
「はい」
奈央ちゃんも代表入り決定です。 奈央ちゃんの実力なら当然って感じあるけどね。
これで月ノ木メンバーの残りは希望ちゃんだけ。 ルーキーチームも眞鍋先輩、黛妹さんに新田さんだけだよ。
「眞鍋」
「はい」
「黛志乃」
その2人もしっかりと呼ばれた。 今回、かなり若いチームになっているけど、これは監督にも何か思惑があるのだろうか?
「最後に
最後のポジション。 ルーキーチームは希望ちゃんと新田さんの2人だけどはてさて。
「田畑」
「はい」
この人も元代表の選手だね。
「新田」
「は、はい!」
「そして雪村。 以上24名で、今年のワールドカップバレーを戦い抜く」
ルーキーチーム全員選抜だよ。 やっぱり皆凄いんだよ!
「ええ、今回は火の鳥日本に新しい風を呼び込みたいと思い、コーチ陣と協議した結果今回は若い世代を多く取り入れた。 実力もここまでの合宿を見てもらってわかるように、ベテラン組にも負けないものを持っている。 更に、一部のメンバーはすでに世界戦を経験している為、世界戦のノウハウも持っている。 今回のこのメンバーなら世界も取れると思っている! 取るぞ、頂点!」
「はいっ!」
◆◇◆◇◆◇
ということで、ルーキーチームで集まって全員代表入りプチ祝賀会を行う事にした。
場所は近くのカラオケ店で、大部屋を借りての宴会です。
ルーキーチームは全員参加、とても賑やかな宴会になっています。
「てなわけで、私たち全員代表入り決定、おめでとおおおう!」
「いえーい」
「いやいや、ほんまめでたい事やでぇ」
「そうね」
目標であった全員代表入りではあったけど、まさか本当に実現するとはね。
このメンバーに元日本代表選手、ベテランVリーガーもいて私達若手も安心して世界戦に臨むことが出来そうです。
「んぐんぐ。 ぷはぁ! 私も世界デビューかー! やるぞー!」
「麻美、渚、新田さんはまだ高校生なのに凄いわよね。 監督、コーチ陣もよく選んだと思うわ」
「多分やけど月ノ木さんは一纏めにしたんやないか? チームワークって面で見た時、やっぱりそこに勝てるメンツは元代表組しかおらんさかいな」
と、眞鍋先輩の推測である。
「もちろん、個人の実力も評価されての事やよ。 月ノ木さんのメンバーの力はウチらもようしるとこやからな」
「そうやな」
「いやいや、立華の2人も都姫の2人も大阪の姉妹も皆凄いよ。 私達だって毎試合必死だったもん」
「そうそう。 楽に勝てた試合なんてなかったもの」
「それやねんなぁ」
「そうそう。 いっつももう後一歩が届かなかったのよねー」
と、今までの試合を振り返るように、弥生ちゃんと宮下さん。
たしかに、いつもギリギリの試合をしていたっけ。 勝敗を分けたのは運なのか勝ちへの執念なのか。 はたまたチームワークなのか。
「まぁええわ。 今は同じユニフォームに袖と押す仲間や。 世界に風穴空けたろやないか」
「いいわねー」
「やったろうじゃないの」
「私達若手で日本代表を引っ張って行こうじゃないか!」
「おー!
「んじゃあ景気づけに歌うわよー!」
と素早くマイクを手に持った奈々ちゃんがカラオケ大会を始める。
「いえぇーい。 私もマイク貸せー! ぼえぇぇー!」
ついでに麻美ちゃんもマイクを持ち、相変わらずの怪音波を発して全員の耳を破壊してしまうのだった。 なんであんなに歌が下手なんだろうか。
◆◇◆◇◆◇
宴会を終えた私達は、ホテルに戻ってきて休む準備をする。
とりあえず代表入りが決まったことを夕ちゃんに報告しておいたよ。
「でも一安心だよぅ。 名前呼ばれるまでドキドキしっぱなしだったもん」
「あはは、リベロは枠少ないうえに激戦区だったもんね。 でも希望ちゃんの実力なら呼ばれるって信じてたよ」
「はぅ。 ありがと」
「また皆と一緒にバレーできるねぇ。 頑張ろうねぇ」
「うん。 大学でもっとレベルアップして本番に臨むよ」
大会は秋。 それまでにまだ合宿があったり試合があったりするようだし、しっかりレベルアップしていこう。
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