第395話 国際通りでアクセ作り
☆麻美視点☆
おー、久しぶりに私の視点だー。
おほん。 私達は今、国際通りへ向かってバスで移動中。 沖縄って見所ばっかりだ。
国際通りでは自由行動にするらしい。 人によって見たいお店が違うだろうからそれが良いと思います。
自由行動かぁ……。
何気なく前の席に座っている夕也兄ぃの方に視線を移す。 さっきのパイナップル園では宏太兄ぃと行動してたみたいだけど、国際通りではどうするんだろう? 亜美姉と一緒に行動するんだろうか?
「私も一緒にって言ったら、亜美姉怒るかなー?」
「あの人は怒らへんやろ」
と、つい口に出してしまった言葉に、隣にいた渚が反応した。
渚の言う通り、亜美姉はあんまり本気で怒ったりしないし……。 よーし、一緒に行動しよって誘うぞーっ。
「夕也兄ぃ夕也兄ぃ」
「んー?」
私が名前を呼ぶと、背もたれの上から顔を出してくる夕也兄ぃ。 ちょっと面白い。
そしてその隣から亜美姉も顔を出す。 何故かジト目である……。
私がこれから何を言うのか把握している顔だ。
「あの、国際通り一緒に見て回りたいなーって……」
そう伝えると亜美姉は夕也兄ぃの方へ視線を向ける。 夕也兄ぃにお任せするつもりのようである。
夕也兄ぃはそんな亜美姉の顔を見て察したようで──。
「良いぞ。 希望も一緒だし、賑やかな方が楽しいだろ」
「やった!」
亜美姉も嫌な顔をせずにむしろ「うんうん」と頷いている。 彼氏と2人よりも皆で過ごすのが好きな人だね。
「渚ちゃんも一緒にどう?」
「え、ええんですか?」
「もちろんだよ」
むしろさらに同行者を増やすのであった。
結局、私と渚も加えて5人で行動する約束をした私達。 楽しみだよー。
◆◇◆◇◆◇
バスは国際通りの近くで止まり、私達はそこで降車。 ここから自由行動だけど、最後はみんなで集まって写真撮影しようという事になっている。
よーし、国際通りで買い物開始ー。
「よろしくお願いしまーす」
「お願いします」
私達は一緒に回ってくれる夕也兄ぃ、亜美姉、希望姉に頭をぺこりと下げる。
「えぇっ?! そんな改まらなくても」
「そうだよぅ」
「友達だろうが。 一緒に行動して当たり前だって」
3人とも「何をいまさら」といった顔でそう言う。
「あはは、友達友達~」
「うんうん、さ、行こう」
亜美姉が促し、私達も国際通りへと足を踏み入れるのだった。
さて最初はどこへ行こうかと相談をしていると、亜美姉が行きたい場所があるというのでまずは亜美姉にお任せすることに。
国際通りから少し路地に入り辿り着いたお店は。小さなパーラーである。 パチンコ屋さんじゃないよ?
「オシャレですね」
「うん」
「男の俺も入っていいのかこれ」
「いいでしょ」
少し女の子女の子した佇まいだし、夕也兄ぃが尻込みするのも仕方ない。
とりあえず中へ入ってみる。
内装はアクセサリーやドライフラワーで装飾されて、とてもオシャレだった。
「あら、皆も来たのね」
「あ、奈央ちゃん達」
私達より先に西條先輩達のグループがやってきていた。 このお店は結構人気らしい。
私達は近くの席に座る。
「ここはスムージーが美味しいんだって」
「私達はもう飲んでるわよー!」
「美味いぞー」
と、先に来ていた3人はスムージーを飲んでいるようだ。 見た目カラフルで凄く美味しそう。
私達も早速そのスムージーをいただくことするよー。
「んん……美味しい!」
「本当、味わったことないような味だけど、美味しいよぅ」
「本当だねぇ。 凄くフルーティー」
「抹茶テイストなんてのもあるんですね」
皆でスムージーを楽しみながら会話をする。 夕也兄ぃは少し落ち着きがないみたいだ。 やっぱり店の雰囲気が合わないのかなー?
「皆もアクセ作り体験していくんでしょ?」
隣のテーブルから西条先輩が話しかけてきた。 どうやらこのお店ではアクセサリー作りを体験できるようだ。 亜美姉はそれも調べがついていたらしく「もちろんだよ」と返事をした。
さすが亜美姉、抜け目なしだ。
「アクセサリーってどんなのが作れるんです?」
「ネットで見た感じだといろんなパワーストーンを繋ぎ合わせてリングを作ったりブレスを作ったりかな」
「へぇ」
「なはは、今井君のは私が作ったげよっかー?」
「紗希ちゃんは柏原君に作ればいいでしょっ」
「そうだよぅ。 夕也くんには私が──」
「希望ちゃんっ」
誰が夕也兄ぃにアクセサリーを作るかでちょっとした小競り合いに発展した結果、夕也兄ぃは自分で頑張ることにしたらしい。
亜美姉は「私が作ってあげるのに」と、頬を膨らませていたけど。
スムージーを飲み終えた私達は、アクセサリーコーナーで手作りアクセに挑戦し始めている。
亜美姉や希望姉、神崎先輩はさすがに手先が器用で、鼻歌を歌いながらパワーストーンを紡いでいく。
「ぐ……あぁ……入らへん」
「む、難しいな……」
「……」
逆に手先不器用な夕也兄ぃ、渚、蒼井先輩辺りはゴム糸にパワーストーンを通すのに苦労している。
これは時間かかりそうだ。
「ぐぁー……」
「渚、落ち着いてゆっくりやりなよー」
「指先がプルプル震えて上手く入らへんねん」
「わかるぞ渚ちゃん」
「ダンベル持っても震えないのに……」
ダメだこの3人。 亜美姉と西條先輩は苦笑いを見せながらも、サクサクとブレスを完成させる。
ブレスで思ったけど、3年生は皆して左手におそろいのブレスレットを着けている。
皆でお揃いのを買ったって事なんだろうけど、仲良しでいいなぁ。
「皆がしてるのって絆ブレスってやつかなー?」
「ん? あぁ、そうよ」
神崎先輩が答えながら左手のブレスを見せてくれた。 凝ったデザインというわけではないけど、丈夫そうなブレス。
いつまでも仲間で居ようと誓い、皆で買ったそうだ。 そういうの憧れるなー。
「でーきたー」
「亜美ちゃん早いよぅ」
「私も出来たわ」
亜美姉と西條先輩の色々ぶっとびコンビは早くも自作ブレスレットを完成させてしまっている。
私と希望姉はあと少しで完成……なんだけど。
「あ、あかん……」
「ぐぬぬー」
「ぶくぶくぶくぶく……」
渚と夕也兄ぃはあんまり進んでないし、蒼井先輩に至っては失神して泡を吹いてる。
私も完成させたので、仕方ないから渚の手伝いをしてあげよう。
「はい渚、こっち持っててあげるからゆっくりやりなよ」
「お、おおきにやで」
亜美姉と西條先輩もそれぞれ、夕也兄ぃと蒼井先輩のお手伝いを始める。
そういして時間をかける事20分──
「で、出来たで!」
「俺も出来たぞ」
「おお……私にもできた……」
不器用トリオも竟にアクセサリーを完成させたのであった。
本当に大変だったよー。 でもこれで私も亜美姉たちとお揃いのブレスを着けることが出来た。
大事にしようと思う。
「じゃあ、私達はこっち行くからー。 またあとでねー」
「うん、またあとでねー」
私達とは別方向へ向かうという西條先輩達とは別れて、私達5人は通りの散策を再開。
次はどんなお店に入ろうか、考えるだけでワクワクするよー。
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