第396話 南国デート
☆奈々美視点☆
国際通りへやって来た私達は、自由行動タイムに突入している。
麻美と渚が亜美達についていったことで、私は宏太と2人になった。 これは沖縄の地で南国デートになったわね。
さて、私達は亜美や奈央のように調べ物をしたりしていないので、行き当たりばったりで国際通りを堪能してやるわよ。
こういう方が思わぬ隠れ名所に行きついたりすんのよね。
「よし、行くわよ宏太」
「あいよ」
早速国際通りの散策を開始した私達だけど、早くも亜美達の後姿を見つけてしまう。
このまま合流しても良いんだけど、せっかく2人きりになれたしここは華麗にスルー。
亜美達は何やら路地へと入っていった。 何かあるのかしらね?
さて私達はというと、まず軽くお土産屋さんを覗いて見る事にした。
「お、これ奈々美に似てるな!」
「どれがよ?」
宏太が指差している方に目をやると、そこには小さな沖縄の守神シーサーの置物が鎮座していた。
「……」
ビキビキッ!
が、我慢よ私。 ここは観光地でお店の中。 暴れちゃダメ。 別荘に戻ったら覚えてなさいよ宏太。
それは置いておいて、沖縄のお土産の定番よね。 2体ほど買って玄関に飾ってもよさそうである。
私に似ているらしいシーサーの置物を2つ手に取って会計へ向かう。
「俺も買って帰るか……お、夫婦シーサーだってよ。 俺と奈々美かー?」
「っ?!」
こここ、こいつ何言ってんのよこのバカ……。 ちょっと恥ずかしいんだけど。
とりあえずシーサーを買ってそのお店を出る。 シーサーの置物はここならどこのお店も売ってるようなので、焦って買う必要はなかったかもしれないわね。
次に入ったお店は衣服などが売っているお店。 ここにも沖縄定番の商品が売っていた。
「海人Tシャツだぞ奈々美」
「よく見かけるわよねこれ。 よし買って早速着ましょ」
「だな」
お互いに黒地に白文字の海人Tシャツを手にして購入。 そのまま着替えてから、再び国際通りへ出る。
これで私も海人ね。
「海人になった気がするな」
「そうね。 何かテンション上がるわ」
観光地ファッションって言うのはなんかテンション上がるのよね。 よし、このまま沖縄色に染まってやるわよ。
そんな私達が次に入店したのは小物、アクセサリーのお店。 ここでは何が売ってるかしらね。
店内を物色しているとここにもあったわ、定番アイテム。
「これはハイビスカスの髪飾りね」
これもよく見るやつね。
「さっきから外で歩いてる人達も大体着けてるよな。 奈々美にも似合いそうじゃね?」
「あ、あらそう?」
そう言われて悪い気はしないわよね。
その髪飾りを買って、それも早速着けていく。
「お、だいぶ沖縄色に染まってきたな奈々美」
「そうねぇ。 サングラスとかも買っちゃおうかしらね」
と、こうなったら止まらないのが私なわけよ。
サングラスにアロハな上着まで買い、南国ファッションに身を包む。
「どうよ!」
「リゾートって感じ出てるぜ」
「ふふん、やっぱ形から入るのは大事よね」
さあ、このまま国際通りを練り歩いてやるわよ。
気分が沖縄モードになって、次なるお店を探すと……。
「なんだこれ……ラクチナソアプ……」
「な、何か読めないけど、コスメショップみたいね。 入っても良いかしら?」
「姫の気の赴くままに」
ということで私達はそのコスメショップへ入る事にした。
どうやら、このお店は沖縄にしか無いみたいだ。
中には、沖縄でしか買えないハンドソープやバスソルト等が売っていた。
「ふむ……買っちゃおうかしら」
家帰ったら使ってみましょう。 麻美にも使わせてあげましょう。
パパッと買い込んでしまい、さらに店内を物色。
ハンドメイドでハンドソープを作れるみたいだけど、時間が惜しいのでここは我慢。
次のお店を探して国際通りへ出る。
「しかし、凄い通りだな」
「観光名所だしね」
本当に色んなお店が立ち並んでいて、飽きが来ない。
そんな私達が次に訪れたのは有名なアイスクリーム屋さん。
「アイス。 季節はまだ早いが、せっかくだし食おうぜ」
「もちろんよ」
ここに来て食べずに素通りする選択肢は無い。
色んな味があるわね。 しかも見たことのないものばかり。
「俺、このウベってのにする」
オススメと書かれているのでそれにしたのかしらね?
私は──
「私は紅芋にするわ。 後で一口ずつ分け合いましょ?」
「了解だ」
お互いにアイスを買って食べながら歩き出す。
紅芋のアイスは甘くてとても美味しいわ。
紅芋タルトとかも何処で買っちゃいましょう。
「ね、そっちのウベってのはどうなの? 見た目的には紅芋によく似てるけど」
「んー、ちょいと癖はあるが美味いぜ。 何か粘り気があるような感じがするが」
「どれどれ、一口交換しましょ?」
「だな」
私もウベ味という物を一口。
「んむ……たしかになんかネバッとするわね。 何かしら? 味は美味しいわね」
「紅芋は安定の甘さだなぁ。 これは美味い」
お互いのアイスを食べ比べて、感想を述べ合っていると前から亜美達がやってきた。
よく見かけるわね。
「あ、お姉ちゃん! 何か沖縄色に染まってるね!」
「ふふ、形から入ってみたわ」
「奈々ちゃん凄く似合ってるよ」
私も結構似合ってると思うのよね。
そうしてお互いの行った店について情報交換していると、私達の食べているアイスに目を付けて、何処で買ったのかを聞かれたので教えてあげると意気揚々と向かっていった。
「あちらさんは賑やかだな」
「本当ね。 夕也の奴、あんなに女の子引き連れてモテ過ぎよね」
「ま、俺の方がモテるがな」
「はいはい」
適当に流しながら、先へ進む私。
宏太がモテるのはたしかだけどね。 誰が何を言っても宏太の恋人は私なわけよ。
今の私には余裕があるのよね。
「そうだわ。 せっかくだし手でも繋ぎましょうよ」
「俺、お前の買った物で両手が塞がってるんだが?」
「……」
言われてみて宏太の両手を見てみると、たしかに私が荷物持ちをさせているせいで両手が塞がっている。
これでは手が繋げないわねぇ。
「じゃあ仕方ないわね」
「うおーい! そこは半分自分で持つとか言おうぜ?」
「わかってるわよ、ほら」
もちろん私だって手を繋いで歩きたいし、荷物を半分持つぐらいはする。 大体私の荷物だし。
宏太から荷物を受け取り、空いた方の手を繋ぐ。
「さーて次はどんなお店に行きますかねー」
「まだまだ荷物増えそうだな……」
「……あまり増やさないようには善処するわよ」
という事で、買い物は程々にしてウィンドウショッピングに切り替えて国際通りを歩く事にする。
しかし、見ていると誘惑に負けてしまうというもの。
更に紅芋タルトやちんすこう、サーターアンダギー等の菓子類のお土産を買い足してしまい、宏太の荷物を増やしてしまうのだった。
宏太は文句を言いながらも荷物を持ってくれている。
さすがに悪いと思うし、別荘に戻ったら少しは労ってやろうかしらね。
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