Prediction

床町宇梨穂

Prediction

携帯電話が鳴る。

彼女からだ。

僕は電話に出る前からこれからの事が分かってしまう。

まず彼女はいつものバーにいる。

そして、僕はそこに行き彼女と一緒にお酒を飲む。

だいたい2時間ほどそこで過ごして僕が彼女に聞く。

「いまから、どうする?」

そこで彼女は言う。

「もう遅いし、家に来たら?」

断る理由を探しながら僕は彼女と一緒に店に出る。

結局、車に乗ってもうまい嘘が思いつかない。

彼女の家に着く。

彼女は当然の様に僕の車を駐車場に止めさせる。

僕は黙って彼女と一緒に彼女の部屋に入る。

そして、彼女は冷蔵庫からビールを取り出して飲む。

なぜか僕には持ってこない。

いつもの通り映画を見る。

ソファーに座った僕の太股を枕に彼女は横たわる。

30分も映画を見ないうちに結局僕達は裸になっている。

ベッドに行って体を重ねる。

終って15分も経っていないのに彼女は裸のまま寝てしまう。

僕は目が冴えて眠れない。

僕の体に絡み付いている彼女を動かしてまで映画の続きを見る事はできない。

本当は自分の家に帰りたい。

何時の間にか僕も寝てしまって朝になる。

彼女はシャワーを浴びている。

その長いシャワーから出てくる彼女を待って、僕はやっと家に帰れる。

・・・・・・。

と言うような事は分かっているのに彼女の電話を無視する事ができない。

電話に出ると、彼女はやっぱりいつものバーにいるらしい。

僕にとってまた、長く退屈な夜が始まる。

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Prediction 床町宇梨穂 @tokomachiuriho

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