A.U.R.A.

床町宇梨穂

A.U.R.A.

いつの頃からか無くなっていた。

気が付いた時にはもう微々たる光しか残していなかった。

ほんの数年前まではまぶしいと言われていた物だったので僕はとてもショックだった。

確かに僕はこれまでの人生でかなりそれの力を感じる事があった。

そして、僕はそれが無くなってしまうなんて事を想像すらしていなかった。

しかし、それは僕の意識のないところで消えてなくなってしまった。

それからの僕は誰からも違いが分かるほど変わってしまったらしい。

もちろん、顔が急に不細工になるとか、性格が強暴になるとかそういったものではない。

ただ、言葉で説明する事ができない何かが確実に変わったという事だ。

それからの僕は何をやってもうまくいかなかった。

それと同時に物事を好転させる事ができない自分にも慣れてしまった。

所詮、自分の力なんてこんなものだという風に納得してしまっていたのだ。

それから数年が過ぎ、ある日の朝、僕はいつもの様に大きな鏡の前で歯磨きをしていた。

その時、右の肩から不思議な光が見えたような気がした。

でも、その時にはあれが戻って来たなんて思わなかった。

いや、その存在自体を僕は忘れてしまっていたのかもしれない。

そして、次の朝その光はまた僕の右肩から出ていた。

前日よりもはっきりした光だ。

僕はやっと気が付いた。

あれが戻って来ようとしている。

日々が経つにつれてその光は僕の全身を包んでいった。

わずかな光だけれども確実に毎日成長している。

まだ、僕の周りでその効果は出ていない。

しかし、今だったら何をやってもうまく行くような気がする。

こんなに自分自身を信じられる自分には久しぶりに出会った気がする。

もう躊躇している必要はない。

すべてを始めてしまおう・・・・・・。

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A.U.R.A. 床町宇梨穂 @tokomachiuriho

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