forêt Lapin
しゃけ
言いなりのうさぎ
お外ってどんな所なんだろう?
きっと、キラキラしてるに違いない!
―どうしてそう信じて止まなかったの?
「お母様とお父様と一緒に、”ぶらんこ”?だったかなぁ?遊びたいんだもん!」
ばしん!
おおきなおへやにひびくの。
「ごめんなさい、もう、いわないです。」
けいこが終わったら図書室に飛び込む。彼女にとっては唯一二の娯楽。必ず手に取るのは、森が出てくる童話、絵本、都会の洋服の本だった。きっと何十回も見ている。外に目を輝かせても、周りからの応援や支援は来ることはない。彼女の家庭は規則が厳しいもので、いわゆる良いとこのお嬢様という身なり。11年間で1度もお屋敷から出たことは無い。出られないの間違いかもしれないが。
「いつもつまらないことばっか!おけいこもおさほーも楽しくない!」
長テーブルに1人、頭を抱えて足をバタバタさせる。
「…こんなおようふく、着たくないよ。」
無地の薄くピンクのかかったロングワンピースにパールのネックレス。靴はただの白。子供にしては大人すぎるようにも感じられる。
「もっとかわいいおようふくが着たい。ふわふわでひらひらの…うさぎさんみたいなお耳のリボンに…」
神妙な顔を数分すると、バッとイスから立ち上がり自分の部屋へとそそくさと走る。
重い部屋のドアを開け、洋服が入ったクローゼットを両手で開け、入っている全ての服を床に置いた。
なんと、床に置いた洋服達をグッと掴み上げ、たちばさみでもないただのはさみでジョキジョキ切り始めた。
縦長く切った服を結んでは切ってを繰り返した。
―――――――――――――――――――――――
「でーきた!」
切れ端の服が散乱した中、彼女が作りあげたものは…ロープだった。
「ふぅ…あっおけいこの時間になっちゃう。……どうせもう、おそとでるんだもん。」
すこし寂しいような、怖がっているような顔をした。
服で作ったロープを窓から下に垂らして昔に打ち付けられたのであろう釘に引っかけ、ひょっこりと下の方を見る。
「きっと、大丈夫」
午後の夕方。すとんっと降りる。
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