第47話 尋問の始まり
「というわけだから、死体処理よろしくね」
「・・・・はい?」
深夜、急遽学園長に呼び出された小次郎は学園長室にいた。
「いや~、にしても君が起きててよかったよ。私は非力だから」
「・・・・・・・わかりました」
飄々とした彼の態度に反抗する気もなくなった小次郎は、しぶしぶ承諾した。
「それで、具体的にはどうすれば?」
「えっとね・・・・・・・」
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その後、証拠隠滅のための七面倒な手順を踏み、死体処理は終えた小次郎は学園の外で朝日を見ることになった。
「・・・・・・・・」
無言で歩く小次郎の頭の中では、焦りが駆け巡っていた。死体は全員日本人だったので、傭兵時代の復讐とかではないだろう。
(となると、香耶関連だろうな。まさか、もう学園まで来るとは・・・・・・・)
帰ったら香耶と相談して、具体的な作戦に移らないとなと考えながら、学園に戻り廊下を歩いていると、
『狩谷先生、狩谷先生。至急闘技場までお越しください』
無感情なその声は、志保のものだった。根拠もなく背筋が凍り付くのが、自分でもわかった。
「・・・・・まさか、ね」
教師自ら廊下を走るという大罪を犯しながらも、闘技場に駆け込んだ。すると、そこには正座している学園長がうなだれていた。
「あ、小次郎くん・・・・・」
情けない声で口を開き、捨てられた子犬のように目を潤ませた学園長の後ろには識と志保が鬼の形相で仁王立ちしていた。
「・・・・・・こ、こんにちは?」
「や~~~っと来た」
「あ、あの識さん?」
「まずは正座!」
「はい!」
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「さて、では事情を聞かせてもらいましょうか?」
女性二人の前で、大の男が2人正座するというシュールな状況で尋問が始まった。
「い、いや事情も何も私は侵入者を排除しただけで」
「学園長はもうわかりました」
「あ、はい」
(どんだけ長くつかまってたんだよ・・・・・・)
「小次郎くん?」
「はい!」
志保のめったに見せない笑顔で、思わず肩がはねた。
「事情、話してくれるよね? 学園に刺客が来るぐらいだもん。それに休日とか放課後とかコソコソ何かやってるし」
識が痛いところを的確についてきた。
「・・・・何かやっていたのは、認める。今回、刺客が来てしまったことについては謝る。だが、事情は話せない」
「なぜだ?」
志保が尋ねる。
「俺の事情じゃないからだ」
「じゃあ、事情はいいや。何をしようとしているのかだけ聞かせて」
(え~、許してくれないの・・・・・・)
さっきのセリフで終わるかと思っていた尋問は、まだまだ続くようだった。
※次回更新 6月5日 金曜日 0:00
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