僕はラノベ主人公です。

イツキ

プロローグ

大雨が降り両親が出かけていない。二人でデートだ。することがなく暇だった時、僕はお母さんの机の引き出しを覗いてみた。

その中には残業で遅くなってしまった母に「お疲れ様」と書いた手紙が入っていた。恐らく小学校低学年の時に書いたものだろう。こんなに昔に書いた手紙を持っていてくれたことは少し嬉しかった。とても字が下手くそだったが一生懸命書いたことは伝わってきた。僕はその手紙を見た時、ある違和感に襲われた。おそらくほとんどは僕が書いた文だろう。だが最後の一文、僕が書いた字とは少しだけ違うように思えた。


「じゃあ、誰が書いたんだ?」


疑問に思って考えた時、何か重要なことを忘れているような気がした。顔は思い出せないが少しだけ覚えているシルエット。

おんなの、こ?

記憶を思い出せそうな時ガタンッと音がした。両親が帰ってきた。


「くっそ、間が悪いな、」


僕はそんなセリフを吐き捨てるといつものようにただいまと聞こえる声におかえりという声で返した。

手紙について本人に直接聞くのは少しだけむず痒いのでやめておくことにした。そんな時、記憶の中の女の子の声が頭の中で聞こえた気がした。


「りゅ、、んっ!」


可愛らしい女の子の声。

この声の正体こそが手紙を書いた人なんだと思う。


扉を開けたのはお父さんだった。どうやら帰ってきたのはお父さんだけだったようだ。お父さんは僕の方に目を向けて、こう言った。


「こんな静かな部屋で何してたんだ?」


言われてみればそうだ。僕はスマホを自分の部屋に置いているからスマホで暇を潰していることは無い。かと言ってこの部屋のテレビをつけている訳でもない。疑問に思うことは当然のことだ。


「寝てた。」


と、僕がありそうな言い訳を言うと意外にもあっさりと納得してくれた。

しかし、一つ疑問に思うことがあった。


「母さんは?」


いつもは大抵二人で出かけ二人で帰ってくるのだが、今日は一人だ。どうせ、買わなければならない物を思い出して大急ぎで買いに行ったとかだろう。

しかし、なぜかお父さんはその質問に答えてくれなかった。僕は機嫌が悪くなったので部屋にこもった。


あぁ、何か青春っぽいこと起こんねぇかなぁ。と、そんなしょうもないことを考えた。


「寝るか。」


そうして僕は明日に備え深い眠りについた。




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