episode.『01月20日(水)』



いつも考えていることがある


それはいつ死ぬかということ


老いてまで生きたいとは思わない


今死んだって構わない


何歳まで生きようか


40歳ぐらいかな


20代のうちでもいいな


10代でも良かったのにな


夢が叶う僅かな可能性に賭けて


それを生きる希望にして


自らは死ねないでいる


早く誰か殺してください



      ※



救いを待っていたんだ


誰かが見つけてくれること


その人が夢を叶える手助けをしてくれること


好敵手がいて切磋琢磨して


夢の頂に立つ


そして誰かに愛され


幸せを実感して生きていく


そんな夢を見ていたんだ


失わない友という仲間


それが欲しかったんだ


それが手に入らないから


殺して欲しいと乞い願う



      ※



日に日に思うことがある


太宰治とカフカ


死を欲して生きた者


絶望に苛まれ生きた者


二人とどこか似ていると


彼らが死と絶望を表すなら


私は宛ら後悔に生きた者だろう


夢を諦めきれず死ねないで


こうして筆を認め生きている


この日記だけはやめられない


生憎私は偉人ではないけれど


同じ匂いがするんだ



      ※



誰かに愛されたかったし


愛したかった


けれどそれも無理な話です


私の心に14年の片思いが


未だ蔓延ったまま


忘れられないでいる


こんな私が誰かと結ばれたら


きっと愛想を尽かされ


互いに傷つけ傷つけられる


そんな終わりが見えている


だから誰を好きになろうとも


私は相も変わらず孤独を極めるだろう



      ※



会話するだけの相手を


友とは呼ばない


顔や名前を知っていても


連絡先を知っていようと


共に遊ばなければ友ではない


家を知らない


ただの話し相手


それは知人ですらない


私が認める友とは


共に時間を過ごしてきた


幼馴染だけだ


友を好きになろうと


友は友としてしか見てはくれない


私はずっと孤独だよ



      ※



知人とは


知っている人ではなく


その人を知っているということ


個人情報だけではない


その人の人柄を知って初めて


それは知人だと呼べるのだ


友達とは


知人以上に相手と


阿吽の呼吸が取れるほど


仲の良い者を指すのだ


そして親友は


どこまで行っても疎遠にならない


連絡を取り合う人を指すと


私は思う



      ※



何もしてないのに


何かに気を回してばかり


もうずっと息が切れてる


私はきっと許されたいんだ


もう十分頑張ったと


諦めさせて欲しいんだ


私以上に頑張っている人は


たくさんいる


それと比べれば


全然頑張れてないんだ


マイペースにとぼとぼと


歩いて走って立ち止まって


追い抜かれて


頑張ってばっかだ



頑張ったねって


褒められたかったんじゃない


もう頑張らなくていいんだよって


言って欲しかったんだ



      ※



学校に来ても


寝るかスマホをいじるだけ


道草も食わずに


1時間半の帰路を歩いて


ただ家を目指す


時が経つにつれ


自由時間は無くなっていく


お金はあろうと物欲はない


欲しいのは安寧の地


けれど現実はより息苦しくなる


就活で自分を偽り


漠然とした理由で会社に勤め


また削られる


とても息苦しい世界だ



      ※



10代ではまだ


現実を知っても反骨心や


気力や活力で漲っていた


20代になった途端


何かの糸がプツンと切れた


今まで以上に無気力になった


無関心な上に無気力になったら


もうどうしたらいいの


世界は酷く汚れている


見せかけだけの上っ面


欲塗れで気持ち悪い


知りたくなかった


大人になりたくなかったよ



      ※



高校でたくさん資格を取った


その理由を問われても


ただ暇だったからとしか言いようがない


もともと行く予定のない学校だったから


志望校に二度も落とされた落ちこぼれだから


滑り止めで入学しただけの底辺校


入った理由は家から近かったから


私は私を磨きながらに


のんびり気ままに生きていたいんだよ



      ※



裏切られても大丈夫なように


上手くカードを切る


相手を疑い続けながら


相手に合わせて


自分の本性を包み隠して


一つずつ見せてもいいものか


言葉を吟味して行動に移す


相手の印象を良くしながら


自分は害をなす者ではないと


信じ込ませる


確かな信用を得ながら


事実だけを並べて


まるで詐欺師の芸当だ



      ※



相手にだけ意識を集中させ


それ以外の情報を全てシャットアウトする


相手の引き出しを開けまくり


相手の人物像を探り当てる


恰も貴方だけに気が向いていると錯覚させながら好感を得る


同時に自分の正体についてはお茶を濁しつつ


それらしい言葉で回避する


少しでも気を許せば終わり


これが人付き合いだ


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