第四話。僕だけでも解決できるって。

 電車にのって終点まで。うちの事務所はこの都市まちじゃ端っこのほうにある。けっこう田舎。

 田んぼは無いけど大きなビルも無い、そんな街の喫茶店の二階部分でひっそりと営業してる。


 周囲には住宅街もあるけどスーパーも本屋もあるしモスバーガーもコメダもある。生活をするには「ちょうどいい」そんな街だ。

 野良猫もいるし飼われてる外猫もいるし。環境は、悪くない。

 お酒飲む場所は無いから、そういう店行きたければ電車乗って数駅行かなきゃだけど、今の僕にはあまり関係ないか。

 耕助さんもそんなにそういうお店に行くって事も無いし。

 依頼でもなければ、ね。


 ガラン

 事務所に帰る前に喫茶リコルに寄る。

 どうせ今事務所に帰っても耕助さんも居ない。

 ちょっとここで奥さんと話してから帰ろうか、って。


「いらっしゃい。あら、真那ちゃんじゃない。今日はそんなスーツ姿でどうしたの? ははーん。リクルート? 転職する気になったの?」


「そんなんじゃないですよー。今日はお仕事で依頼者に会ってきたんですよ!」


 もう。僕が氷室事務所辞めるわけないじゃない。


「へー。じゃぁ、もう立派な探偵さんってこと? すごいわねー。どんな依頼?」


「うー。え、と……。ね、こ、です」


「あ、ごめんなさい。よく聞こえなかったけど」


「……、猫探しです……。行方不明の猫探し」


 もう。口にするのも恥ずかしい。立派な探偵さんって言われて答えるにはちょっと、ねえ……。


「あら、猫なら真那ちゃんにはぴったりのお仕事じゃない。先生もわかってるのねー」


 そりゃ、ぴったりといえばぴったり、かもなんだけど。


 ……そうさ、俺たちにはこんな仕事は容易いからな。


 うるさい! あんたは黙ってて!


 ……そうつれなくするなよ相棒。まあ、今は黙っててやるさ。


 もう。ほんとやんなっちゃう。




 この事件。ミケコがまだ生きている可能性は低い。

 だとしたられっきとしたあやかし案件だ。

 そうであれば確かにあいつの力を借りれば簡単、だろう。

 でも。


 僕一人でも解決出来るって。

 そう、耕助さんに認めて貰いたい。


 うん。頑張ろう。

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