エピローグ:エンドロール・プロトコル/01

 エピローグ:エンドロール・プロトコル



「――――まさか、フォルネウスたちがやられるとは」

「はい。これは……正直、予想外でしたわ。まさかお爺様の近衛騎士が、たった二人に敗れるだなんて」

「いやいや、相手は一年半前、我が近衛騎士の八割をほふってみせた相手だ。可能性として考えてはいたことだが……しかし、実際にそうなってしまうと心が痛むよ。惜しい騎士たちを亡くしたものだ、本当に」

「ええ、そうですわねお爺様……」

 ――――篠崎邸。

 人里離れた場所に建つ、広大な敷地を有した豪華絢爛な洋館。その大広間にて、今日も今日とて篠崎十兵衛と孫娘の香菜は顔を突き合わせ……難しい顔で、言葉を交わし合っていた。

 ちなみに、今日は潤一郎と真は不在だ。今この広間に居るのは、長テーブルの誕生日席に腰掛けた十兵衛と、立ったまま彼と言葉を交わす香菜のみだった。

「ですが、幸いなことにセイレーンは再び記憶を失ったようです。クリムゾン・ラファールの動向は気掛かりではありますが……ひとまず、今のところはセイレーンを捨て置いても問題無くなりましたわ」

 香菜の報告に対し、十兵衛は「ううむ……」と難しい顔で唸る。

「我が近衛騎士たち、彼らの死に報いる結果となればよいのだが」

 続く十兵衛の物憂げな言葉に、香菜は「そうですわね」と頷き返し。その後で「ご安心ください」と笑顔で十兵衛に言った。

「モスクワ支部にて、人工神姫の実験準備が整いましたわ。被検体も既に現地にて確保済み。すぐにでも始められる状況ですわ」

「おお! それは本当なのかね、香菜?」

「勿論ですわ。この実験……人工神姫第二号の実験に成功すれば、我らネオ・フロンティアの戦力は飛躍的に増大することになります。グラファイト・フラッシュ以上の強力な戦士が、我らの手に収まることになりますわ」

「そうかそうか、それは結構! 結果を楽しみにしているよ、香菜」

 上機嫌そうに笑顔を浮かべる十兵衛に、香菜もうふふ、と微笑み返す。

 非道を企む悪魔たちの笑い声は、暗闇の中にいつまでも木霊していた………………。

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