第十章:セカンド・イグニッション/深紅の乙女より愛を込めて/03

「アンジェ、無事!? ……みたいね、どう見ても」

 そんな風に遥が現れれば、途端にセラも……いつの間にやら基本形態のガーネットフォームに姿を変えていた彼女も駆け寄ってきて。焦った様子でアンジェに呼びかけた後、傍に立つ遥の姿を見て安堵した声を漏らしていた。

「うん、どうにかね」

「ったく、気をつけなさいよね? ……ホラ、これで大丈夫よ」

「ん、ありがと」

 セラは右手に呼び出したコンバット・ナイフ、その峰側に付いたフック状の刃、ガットフックでアンジェの左腕に絡みついていたセンチピードの鞭をサッと切断。彼女を拘束状態から解放してやる。

「セイレーン、またアンタに助けられたみたいね」

「いえ、当然のことをしたまでです」

「ったく、アンタらしいっていうかなんて言うか……まあいいわ」

 アンジェを救ってくれた遥に礼を言いながら、セラはやれやれと肩を竦めつつ。また重砲撃形態のストライクフォームにフォームチェンジをし直すと、じりじりとにじり寄って来ていたコフィン・バンディットたちに向けてガシャンと砲口を向ける。

 とすれば、遥も同様にコフィンたちの方へと聖剣ウィスタリア・エッジを構えていた。セラと……神姫ガーネット・フェニックスと背中合わせになるようにして。

「アンジェ! こっちの雑魚どもはアタシたちに任せて、アンタはとっとと大物をブッ飛ばしてきなさい!!」

 そうして二人で背中合わせになりながら、横目の視線を投げかけるセラはアンジェに向かってそう叫んでいた。

「……うん、分かった!」

 コクリと頷き返したアンジェは、その場で速度特化形態のヴァーミリオンフォームにフォームチェンジ。両手に深紅の短剣『ミラージュカリバー』を逆手持ちで握り締めると、すぐさま両腰のスラスターに点火。遥とセラがコフィンたちを引き付ける中、飛び退いて距離を取っていたセンチピード目掛けてバッと単独で突っ込んでいく。

「さてと……セイレーン、アタシに合わせられる?」

 そうしてアンジェが単独でセンチピードに再攻撃を敢行する中、その場に残ったセラは背後の遥に向かってそう呼び掛ける。

「貴女の火力で一網打尽にしてしまう、そのつもりですよね?」

「さっすが、アンタなら分かってくれるって思ってたわ」

「でしたら……私が上手く注意を逸らしてみせます。仕上げは頼みましたよ、ガーネット・フェニックス」

「オーケィ、上等!!」

 超加速を行使して一気にセンチピードとの距離を詰めていくアンジェ。そんな彼女の背中を見送りつつ、セラと遥もまたコフィンたちとの交戦を開始した。

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