第九章:切なる祈りとともに/02
「ッ――――!?」
そうして気配を察知して遥が店を飛び出したのとほぼ同じ頃、P.C.C.S本部ビルの地下司令室。そこで司令官の石神と顔を突き合わせて話をしていたセラとアンジェの二人もまた、同様に敵の出現を感じ取っていた。
「セラ、今のって……!?」
「言うまでもないでしょう、この感覚……!!」
甲高い耳鳴りのような感覚に顔をしかめ、アンジェとセラが神妙な顔で向き合う。
それから数秒もしない内に、司令室にもけたたましい警報音が鳴り響いていた。
「何事だ!」
突然の警報音に驚きつつ、振り向いた石神が怒鳴るように問う。
「バンディットサーチャーに反応! 敵が出現したッス!!」
そんな石神に答えたのは、一番手近なオペレータ席に着く彼……
南の報告を聞き、石神は「敵の反応……こんな時にも遠慮なしか!」と苦い顔を浮かべ。その後でセラとアンジェ、神姫二人の方に向き直ると、改まった調子で二人にこう言う。
「アンジェくん、セラくん……すまないが、頼んだぞ」
「了解よ、司令!」
「分かりましたっ!」
頷き、即座に飛び出していく二人。
セラとアンジェ、そんな二人の背中を……司令室に立ち尽くす石神は、苦い顔で見送っていた。
「俺たちには、彼女らを黙って見ていることしか出来ん……悔しいが、今はまだ」
悔しげな顔と語気でひとりごちれば、再び後ろに振り返った石神は南に大声で号令を下す。
「STFヴァイパー・チームにも即応体制を取らせろ! それと有紀くんにも連絡を!!」
「了解ッス! ……って、主任にもッスか?」
きょとんとする南に「ああそうだ!」と石神は力強く頷き返す。
「転ばぬ先の杖、万が一の保険って奴だ! 彼ならきっと……いいや、間違いなく動く!!」
「……! 了解ッス! 主任にも通達しておくッス!」
――――彼なら、間違いなく動く。
その言葉で全ての意図を汲み取ると、南はコクリと頷き返し。目の前のデスクに向き直れば、下された命令を実行に移す。
そうして南が石神の命令を実行し始めた直後、南はまた振り向きながら「……司令!」と叫ぶ。
「なんだ!!」
叫び返す石神と視線を交わし合いながら、南は……南は困惑気味の顔で、彼にこう報告した。
「その……戒斗さんが、病院を抜け出して!」
「……!!」
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