第七章:身体は傷付き心は手折られ、それでも…………。/02

「よう兄弟、身体の具合はどうだ?」

 そんな風に石神と言葉を交わしていると、また病室の引き戸がガラリと開き――――二人目の見舞い客が、気さくな笑顔とともにやって来てくれた。

「ウェズ!」

 現れた彼、引き戸の向こうからひょこっと顔を出した、やはりマッチョで長身な……スキンヘッドが目立つ黒人のナイスガイ。そんな彼を一目見れば、戒斗が嬉しそうな顔で彼を呼ぶ。

 ――――ウェズリー・クロウフォード。

 元米海軍特殊部隊・NAVYネイビーSEALsシールズの精鋭にして、現在はP.C.C.SでSTFヴァイパー・チームの隊長を務めている腕利きのタフガイ。先日のオペレーション・デイブレイクでも戒斗と共に肩を並べて戦った、今度はそんな彼がお見舞いにやって来てくれたのだ。

 何処か一匹狼というか、気難しい性格の戒斗にとって……何だかんだと兄貴分のような立場に収まっている彼。そんな彼が見舞いに来てくれたとあれば、戒斗が彼らしくもなく喜ぶのも無理ない話だった。

「へへっ、なんだ意外と元気そうじゃねえか。心配して損したぜ」

 ウェズは思いのほか元気そうな戒斗の姿を見ると、ニッと人懐っこい笑みを浮かべながら病室に入ってくる。

 格好は……彼も石神と同様にいつも通りというか、実に見慣れた普段着といった感じの出で立ちだ。

 黒いタンクトップに、カーゴっぽい紺色のズボン……STF支給品のコンバットスーツのズボンといった格好。いつも通りのウェズといった感じで、彼はこの病室に入って来ていた。

「悪いな、心配掛けちまって」

 そんなウェズにも戒斗は詫びると、ウェズはやはり人懐っこい笑顔を浮かべて「なあに、良いってことよ」と言ってくれる。

「……そういうワケだ司令、交代に来たぜ」

 とすれば、ウェズは笑顔を浮かべたまま、今度は石神に対してそんなことを言っていた。

「ああ、来てくれたか。後のことは頼むぞ、クロウフォード隊長」

「了解であります、ってな」

 ウェズに言われた石神は座っていた丸椅子から立ち上がり、それに対してウェズはわざとらしく敬礼なんかしてみせる。

 どうやら石神、来て早々にもう帰ってしまうらしい。

「司令、もう帰るのか?」

「まあな。俺も何だかんだと司令官だからな……色々とやることが山積みでな。君の元気そうな顔を見られて良かった。ホッとしたよ」

 石神は最後にニッと笑いながら戒斗に言って、そのまま病室を後にしていく。

「っつーワケで、俺が司令の交代要員ってことだ。愛しのハニーじゃなくて悪いが、まあ暇潰しの相手ぐらいにはなるだろ?」

 そうすれば、ウェズが石神と入れ替わる形で、戒斗のベッド脇にある丸椅子へと腰を落とした。

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